データドリブンとは?注目の背景や実現に必要なステップと支援ツール
目次
テクノロジーの進歩に伴い、顧客行動やビジネス環境も変化しています。企業が競争力を維持・向上するためには、データドリブンな組織へシフトすることが重要です。データに基づく意思決定やアクションは、支援ツールを活用しつつ、新たな企業文化を構築することで定着しやすくなるでしょう。
そこでこの記事では、データドリブンの実現が注目される背景、必要な4つのステップ、および支援ツールについて紹介します。
データドリブンとは?
データドリブン(Data Driven/データ駆動)とは、組織の意思決定やアクションがデータに基づいてなされていることです。データに基づくマーケティングをデータドリブンマーケティング、データに基づく経営をデータドリブン経営と呼びます。
従来の経験に基づくマーケティングや経営とは根本的に異なるアプローチです。IoTデータ・売上データ・アクセス解析データ・マーケティングデータなどビッグデータを収集・分析して、経営状況を正確に把握しつつ客観的なインサイト(洞察)を発見し、組織運営やビジネスの意思決定・アクションの精度を高めていきます。
データドリブンの実現が注目される理由
データに基づく判断やアクション自体は新しいものではありませんが、従来は意思決定のために十分な高品質かつ大量のデータを収集・分析する基盤が整っていませんでした。しかし、近年のビジネス環境や顧客行動の変化により、データドリブンの実現が注目されています。
テクノロジーの進歩によりデータ活用基盤を利用しやすくなった
近年は中小企業でもデータドリブンの実現に必要な環境を整えやすくなっています。デジタルデバイスやネットワーク技術・デジタルマーケティング技術などの高度化により、多様なチャネルから自動的にデータ収集したり複雑な分析を高速化したりして、データを可視化・活用することが身近なものになりました。
例えば、店頭のAIカメラや人感センサー、買い物客を識別するID-POS、コールセンターで運用するクラウドPBXやCTIシステムなどを利用することで、購買行動データの収集と分析が可能です。また、メルマガやWeb広告運用を自動化するツールもよく利用されています。
こうしたデータ活用基盤を上手に利用すれば、重要なインサイトを効率的に引き出すことができます。従来に比べ、ビッグデータを活用した経営やマーケティングの改善がより容易になっています。
顧客行動の変化で「顧客に選ばれる」アプローチの必要性が増している
顧客行動の複雑化とニーズの多様化も、データドリブンの実現が注目される要因です。以前はテレビCM・DM・新聞の折り込みチラシなど顧客接点が限られており、認知から購買・契約に至る購買行動も比較的シンプルで、経験や勘に基づくマスマーケティングも通用しました。
近年は、レコメンド機能のあるECサイトやショッピングアプリの利用が広がっています。リアル店舗を訪れて商品購入する際も、事前にWebで情報を検索・比較することが一般的です。消費者はWeb広告やメルマガ、SNS、口コミサイトなどから日々多彩な商品・サービスの情報に触れ、自発的に比較検討して商品・サービスを選択することに慣れています。
BtoC・BtoB問わず、「顧客に選ばれる」ための高精度なデータ分析は必須です。データを基盤とし、顧客一人ひとりに最適化したコミュニケーションを行う、One to Oneマーケティングの重要性が増しています。
データドリブンを実現するメリット
データドリブンを実現した組織は、以下のようなメリットを享受できるでしょう。
・業務の属人化を防止できる:経験や勘による判断・アクションは担当者により差が大きいが、データに基づく客観的なアクションは組織の共有財産として蓄積しやすく、再現性が高い
・One to One マーケティングを実現しやすい:顧客の属性・行動・ニーズ・課題などのデータを蓄積・分析することで、顧客一人ひとりに最適化した、タイミングを逃さないアプローチがしやすくなる
・ボトルネックを特定しやすい:企業が収集する多種多様なデータを総合的に精査することで、組織・サービス・マーケティングなどの弱点を発見し、改善しやすくなる
データドリブン実現に必要な要素
データサイエンスの発展やデータ活用をサポートするツールの普及により、データドリブンなマーケティングや営業は大企業だけでなく中小企業でもスタンダードになりつつあります。またデータをスムーズに収集・分析・活用するためには、データドリブンの企業文化を構築することも重要です。
データを利活用できる人材または専用ツール
データを扱う際、「必要なデータがどこにあるか分からない」「データ品質が悪くそのままでは活用できない」といった問題はよく起こります。
データドリブンを実現するには、データを利活用できる人材が必要です。データサイエンティストやデータアナリストといった専門人材を確保できれば、データから信頼性の高いインサイトを発見し、現状把握と意思決定が容易になるでしょう。
専門人材を確保できない場合、データベースの作成や分析を専門知識不要で自動化できるツールなど、データ活用の基盤となるソリューションを導入・運用することが必要です。
データドリブンの企業文化を構築すること
全社的にデータドリブンの文化を構築することも重要です。データドリブンの実現には、意思決定に関わる多様なデータを総合的に分析する必要がありますが、データを収集するチャネルは複数部署に散在していることもあります。
例えばデータドリブンなマーケティングや営業を目指すなら、購買行動に関わる全プロセスのデータを漏れなく収集し、多角的かつ高精度な分析により導出した「今まさに必要なアプローチ」をスムーズに実行することが必要です。経営層はもちろん各部署・各チームにデータドリブンの考え方を浸透させ、全社的に連携する文化を構築することが求められます。
データドリブン実現に必要な4ステップ
データドリブンを実現するには、マーケティングや営業に関するデータを収集し、整理・可視化した上で分析することが必要です。最終的な意思決定やアクションは人が行いますが、データの収集や分析に関しては、支援ツールにより自動化する仕組みを作ることもできます。
ステップ1.データを収集する
まずデータを収集することが必要です。店舗の売上データ・会員データやコールセンターの応対履歴データ、Webサイト・Web広告・メルマガの運用データ、BtoBなら組織内の名刺情報なども収集しましょう。
既存の顧客接点をデータ収集に活用できていなければ、ID-POS・CRM(顧客関係管理システム)・DWH(データウェアハウス)などを導入し、効率的にデータ収集できる仕組みを作ることが必要です。
ステップ2.データを整理・可視化する
続いて収集したデータを整理・可視化します。さまざまなチャネルからデータを収集すると、「データ形式が統一されていない」「データの欠損や重複がある」ということも起こるでしょう。名寄せ・データクレンジングを行い、高精度な分析に使えるデータとして整理・可視化することが必要です。
ExcelやGoogleスプレッドシートにデータを手入力して表やグラフを作成することもできますが、手間がかかる上、詳細な分析には向きません。アクセス解析ツールやBI(Business Intelligence)ツールなど、データ可視化ツールを活用するのが効率的です。
ステップ3.データを分析する
整理・可視化されたデータを分析し、意思決定に役立つインサイトを発見します。定量的・定性的な複数のデータを並べ、一見して関係のないデータから関連性を見いだしたり、ボトルネックを特定したりするプロセスです。データ分析を人手で行う場合、データサイエンティストやデータアナリストなど、データ活用の知見のある人材が求められます。
専用ツールを活用したデータ分析も可能です。組織によって最適なツールは異なりますが、マーケティング分析ならMA(マーケティングオートメーション)ツール、営業分析ならSFA(営業支援システム)などを活用します。
ステップ4.意思決定やアクションを行う
分析結果に基づき、意思決定やアクションを行います。例えばMAを用いた見込み顧客のWeb行動分析、SFAを用いた商談・エリア・KPI分析などの結果を踏まえ、有効な打ち手を検討・実行するプロセスです。
データ分析にツールを活用しても、最終的な意思決定とアクションは人が行います。データに基づく組織運営やビジネスを行うには、経営層・マネジメント層の積極的な介入、チームや担当者の目的意識が必要です。データドリブンの文化が浸透していれば、データに基づくアクションプランをスムーズに実行できるでしょう。
データドリブン実現を支援するツールの具体例
見込み顧客・既存顧客の属性情報などを収集するにはパブリックDMPや名刺管理ツール、データの可視化・分析にはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールが有用です。MA(マーケティングオートメーション)ツール・SFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理システム)は、マーケティング・営業・カスタマーサクセスという一連のプロセスをそれぞれ支援します。
パブリックDMPや名刺管理ツール
第三者データの活用にはパブリックDMP(Data Management Platform)、社内人脈のデータ活用には名刺管理ツールが有用です。
パブリックDMPは、属性情報や趣向・関心といったデータが整理された膨大なサードパーティデータを、新規顧客の開拓などに活用できます。ただし、コストに見合うほど有益なデータが見つかるとは限りません。
一方、各従業員が収集した紙の名刺に、本人も気付かない重要な情報が眠っている可能性もあります。名刺管理ツールは、個人管理されることが多い名刺の情報を吸い上げ、組織的に社内人脈を活用できるようにするツールです。BtoB企業の場合、名刺管理ツールはデータドリブンな営業に必須といえます。
【関連記事:名刺のデータ化はなぜ必要?メリットや方法と名刺管理ツールの選び方】
BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
BIツールは、多種多様かつ膨大なデータを業務内容に応じて抽出・加工・分析し、レポートやグラフなど意思決定に役立つ形式にまとめるツールです。
視点を変えて試行錯誤しながら予測分析を行う場合などに活用できます。経営層から各部署の担当者まで、業務領域を問わずデータの可視化・分析に活用できるのが特徴です。
クラウド型のBIツールは比較的安価ですが、オンプレミス型の場合は数百万円以上の費用が発生することもあります。
MA(マーケティングオートメーション)ツール
MAツールは、メールマーケティングの自動化や広告施策と連動するアクセス解析など、マーケティングプロセス全体の効率化をサポートするツールです。以下のような項目に関するデータ分析機能も活用でき、見込み顧客の獲得・育成や案件創出に役立ちます。
・Webサイトへの流入経路や滞在時間
・特定の広告キャンペーンやSNSからの訪問者数の追跡
・特定ページでの滞在やCV率の変化
・サービス・商品の導入検討か進んでいるかどうかなど行動の可視化
・見込み顧客の分類
・メルマガの開封率や各ユーザーの開封状況
・LPや問い合わせフォームからのCVなどのデータ
【関連記事:マーケティングオートメーション(MA)とは?できることや活用方法】
SFA(営業支援システム)
SFAは、営業プロセスや商談の進捗状況などをチーム全体で共有できる、データドリブンな営業組織に必須のツールです。以下のような機能により組織的な営業活動をサポートできる他、顧客・商談・行動・エリア・KPIなどの分析と課題抽出もできます。
・顧客情報の管理機能
・案件管理・商談管理機能
・ToDoリストやスケジュールの管理機能
・営業アプローチリストの作成管理機能
・申請や承認のワークフロー機能
・付近の顧客や営業ルートを表示する機能
・予実管理機能
【関連記事:SFAとCRMの違いとは?役割・想定ユーザーや機能差を易しく解説】
CRM(顧客関係管理システム)
CRMは、属性情報・購買履歴・接触履歴・クレーム履歴など、顧客と企業の関係についてのさまざまな情報を収集・分析するツールです。
オフライン・オンラインを問わずさまざまなチャネルから収集した顧客データを一元管理できる他、行動トレンド分析やセグメンテーション分析、売上分析など、さまざまなデータ分析にも活用できます。
顧客理解を深めそれぞれの顧客に最適化したアプローチを見いだし、長期的かつ良好な関係を築いて顧客と企業の相互利益を向上させることで、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すツールです。
【関連記事:顧客管理の重要性を基礎から理解!現場で役立つおすすめツールも紹介】
「ホットプロファイル」でデータドリブンなマーケティング・営業を実現
データドリブンなマーケティングや営業を目指すには、MAやSFAなど複数のツールの活用が必要です。しかし複数ツールの導入にはコストがかさみ、現場の負担も大きく、データドリブンの文化形成に支障をきたす恐れもあります。
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案件管理など基本機能の他、遠隔での営業報告や予実管理・レポート出力などにも対応し、営業担当者や営業マネージャー、経営層それぞれの立場で使いやすいシステムです。さらにLP・問い合わせフォームの管理やOne to Oneメールの送信などMA機能も一本化でき、「今ホットな顧客」の自動通知機能によりタイミングを逃さないアプローチも容易になります。
まとめ
テクノロジーの進歩により顧客行動は変化しており、One to Oneマーケティングや顧客ニーズの変化を逃さない営業の重要性が高まっています。ビッグデータを活用する企業も一般化する中、データドリブンなマーケティング・営業へのシフトは急務といえるでしょう。
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