1. コラム
  2. コラム
  3. 営業戦略とは?戦略・戦術の立て方やフレームワーク、成功のポイントを解説

営業戦略とは?戦略・戦術の立て方やフレームワーク、成功のポイントを解説

経験や勘に頼った営業活動や個人プレーで営業全体の成果が上がらず、営業戦略の考え方を知りたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。

営業戦略において重要なことや必要なアプローチ、戦略目的を達成するために効果的なICTツールを知ることで、具体的な行動計画を立てられます。営業部門全体でデータを活用し、適切な価値提供ができる仕組みを整えましょう。

そこでこの記事では、営業戦略の意味や立て方・実行プロセス、役立つフレームワークや成功のポイントについてご紹介します。

営業戦略とは


営業戦略は「売れる組織作り」をするための戦略で、全社戦略に連なる事業戦略のひとつです。営業戦略を実現するためには、具体的な行動計画である営業戦術を立てます。営業戦略・営業戦術の立案に当たっては、価値提供にフォーカスすることが重要です。まずは営業戦略の基礎知識を見ていきましょう。

営業戦略は経営戦略の一部

営業戦略とは、中長期的な営業目標を達成するための「売れる組織作り」を準備・計画・運用する方法論です。営業戦略は企業の持続的競争優位を確立するための「経営戦略」の一部で、経営戦略は「全社戦略」「事業戦略」の2つのレベルに分けられます。

経営理念・ビジョンの下に全社戦略を策定し、それに連なる事業戦略として研究生産戦略・生産戦略・マーケティング戦略・営業戦略など、機能分野別の戦略がある関係です。

ただしこれはトップダウン型の一方的な意思決定プロセスではありません。営業戦略の策定が全社戦略の可能性を拡大させたり、全社戦略の変更がビジョンに影響を与えたりするなど、流動的かつ循環的な関係があります。

営業戦略から営業戦術へ

戦術とは、戦略を実行するための個別具体的な計画・運用方法を指します。全社戦略の下に機能分野ごとの事業戦略があり、ひとつの戦略に対して複数の戦術がある関係です。

営業戦術とは、営業戦略を実行するための具体的な行動プランを指します。営業戦略で掲げた目標は何らかの方法で実現させる必要があるため、営業戦略を立てるだけでなく、実際の行動プランである営業戦術に落とし込むことが必要です。

重要なのは価値提供にフォーカスすること

営業戦略・営業戦術を策定するためには、バリュープロポジション、つまり「自社だけが提供できる、顧客の本質的なニーズを満たす価値」を明らかにすることが重要です。そのために以下のポイントを踏まえて戦略・戦術を立てます。

・市場調査や競合調査
・自社の現状の可視化・数値化
・営業部門の現状の分析
・課題の明確化
・コアコンピタンス(競争力の中核となる企業独自の技術やノウハウ)の把握

営業戦略の立て方と実行プロセス


営業戦略の実行プロセスは以下の5ステップに分けられます。

1.自社の戦略的な立ち位置を判断する
2.戦略目的の優先順位を決める
3.具体的な戦術に落とし込む
4.計画を実行・管理する
5.計画を評価し軌道修正する

それぞれのステップの意味やポイントを把握し、営業戦略の実行をよりクリアにイメージしましょう。

1.自社の戦略的な立ち位置を判断する

まずは準備段階として、自社の戦略的な立ち位置を判断します。このステップで押さえたいポイントは以下の通りです。

・社内外のステークホルダーが準備段階から参加する
・経営陣と相談して主な戦略課題を特定する
・顧客視点で業界や市場のデータを収集する
・外部の機会(市場で空白が生じている部分で、自社がそのニーズを満たせるもの)や脅威(競合他社)を把握する

こういった取り組みにより市場における自社の戦略的な立ち位置を明確化し、中長期スパンの重要な戦略目的を浮かび上がらせます。

2.戦略目的の優先順位を決める

重要な戦略目的が浮かび上がったら、達成すべき目的の優先順位を決めます。経営ビジョンや営業目標に沿った目的であることが重要なので、以下のようなポイントを踏まえて優先順位づけをしましょう。

・自社のミッション・ビジョンの達成や市場でのポジション改善に影響力の大きいものは何か
・顧客獲得や収益改善など、重要なインパクトは何か
・緊急性の高い施策は何か
・目標達成のためにすべきことは何か
・競合他社はどのように反応するか
・進捗状況や目的達成率はどのように測るか

3.具体的な戦術に落とし込む

戦略目的の優先順位付けをしたら、目標達成すべき戦略を具体的な戦術に落とし込みます。施策に関わる部署・担当者には戦術の内容とタイムライン、責任範囲を伝えることが必要です。

そこで計画の全体像をマッピングして可視化し、トップダウン型のビジネスプロセスを構築します。計画の実行には投資を要するため、インパクトの小さい施策は切り捨てることも大切です。

4.計画を実行・管理する

行動プランが完成したら、計画を実行します。まずは施策に関わる部署・担当者に行動プランの内容を伝えることが必要です。達成すべき目標や責任範囲、完了までのプロセスと各プロセスでの担当範囲を詳細に伝えます。

進捗状況を管理するために確認ポイントをあらかじめ決めておき、計画の実行中は定期的なミーティングが必要です。

5.計画を評価し軌道修正する

計画を実行に移したら、定期的に計画を評価し、成功・失敗に基づいて軌道修正します。四半期ベースなどで目標の達成状況を確認し、達成率に問題があれば計画の調整が必要です。年間ベースで優先順位や戦略的な立ち位置を再評価し、戦略の全体像を見直しながら、長期的な成功を目指しましょう。

営業戦略のプロセスで役立つフレームワーク


営業戦略の策定に当たっては、外部環境分析から事業におけるKSF(重要成功要因)を明確にし、内部環境分析から自社がKSFをいかに実現していくかという具体的な戦略立案につなげていきます。

また優先順位付けや評価・軌道修正のプロセスでも検討方法の枠組み、つまりフレームワークが必要です。ここでは、営業戦略のプロセスに役立つ6つのフレームワークを解説します。

SWOT分析

SWOT分析とは、KSFや事業機会の導出を目的として、自社の外部環境・内部環境を整理するためのフレームワークです。自社の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」を検討するため、頭文字を取ってSWOT分析と呼びます。分析の具体的なプロセスは以下の通りです。

1.マクロ環境や業界・市場環境を分析し、市場における機会・脅威を整理する中で、何が事業のKSFとなるかを把握する
2.自社と競合を分析し、自社の強み・弱みを整理する中で、自社のコアコンピタンスを見極める
3.機会・脅威に対して自社の強みをどのように活かし、また弱みを克服するかを検討し、機会を見出す
4.KSFとコアコンピタンスがフィットしていなければ、外部環境に働きかけるか内部環境を変革する

マクロ環境分析(PEST分析)

マクロ環境分析とは、自社ではコントロールできない、自社に最も影響を与える外部環境要因を分析するフレームワークです。外部環境要因として「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つを検討するため、頭文字を取ってPEST分析とも呼びます。

・Politics:ビジネスを規制する法律や政治動向など
・Economy:経済水準・所得変化・為替・金利など
・Society:人口動態・価値観・流行・習慣など
・Technology:ビジネスに影響を与える技術動向

自社業界のビジネスはこれらのマクロ環境に大きく影響を受けるため、中長期スパンの営業戦略においては自社業界を取り囲むマクロ環境を把握・分析することが必要です。

5F分析(ファイブフォース)

5F分析とは、競合・売り手・買い手・新規参入・代替製品という業界環境の「5つの力」を分析することで、業界の収益構造やKSFを見出すためのフレームワークです。

・業界内の競合:業界における同業他社との競争の激しさ
・新規参入の脅威:新規参入により、競争が激化してしまう可能性
・代替品の脅威:代替品により、既存の商品・サービスの市場が奪われる可能性
・売り手の交渉力:部品や原材料の納入業者との力関係
・買い手の交渉力:顧客との力関係

3C分析

3C分析とは、外部環境の市場と競合の分析からKSFを見つけ出し、自社の戦略に活かすためのフレームワークです。「市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字を取って3C分析と呼びます。分析のポイントは以下の通りです。

・市場分析:自社の製品・サービスを購買する意志・能力のある潜在顧客を把握する。市場規模や市場の成長性、顧客ニーズや購買プロセスを分析
・競合分析:競争状況や競争相手について把握する。寡占度・参入障壁や競合の戦略、経営資源や構造上の強み・弱みなどを分析
・自社分析:自社の経営資源や企業活動について、定性的・定量的に把握する。売上高・市場シェア・収益性・ブランドイメージ・技術力・人的資源や、付加価値を生み出す機能を分析

バリューチェーン分析(VC分析)

バリューチェーン分析とは、自社の事業活動を分解してどの部分がどのように付加価値へつながっているかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方法を探るためのフレームワークです。

原料調達・製造・出荷・物流・販売・マーケティング・アフターサービスなどの主活動と、人事・経理・技術開発などの支援活動からモノの流れを可視化し、マージンを加えて付加価値を表します。

それぞれの活動の役割・コストや事業戦略への貢献度を明らかにすることで、競合と比較した強み・弱みや業界のKSFの発見が可能です

マッキンゼーの7S

マッキンゼーの7Sとは、戦略の実行に関わる7つの要素の相互関係を分析し、事業戦略の優先順位付けや軌道修正に役立つフレームワークです。7Sはソフトの4Sとハードの3Sから成り、ソフトの4Sは強制的・短期的な変更が難しい部分、ハードの3Sは意思・プラン次第で変えられる部分と考えます。

【ソフトの4S】
・Shared value (共通の価値観・理念)
・Style(経営スタイル・社風)
・Staff(人材)
・Skill(スキル・能力)

【ハードの3S】
・Strategy(戦略)
・Structure(組織構造)
・System(システム・制度)

営業戦略を成功させるポイント


営業戦略を成功させるには、以下4つのポイントを押さえることが大切です。

・見込み顧客を獲得・育成する
・確度の高い顧客にアプローチする
・既存顧客と良好な関係を築く
・営業部門全体で営業力を強化する

それぞれのポイントからICTツール活用の必要性を把握しましょう。

見込み顧客を獲得・育成する

営業戦略を成功させるには見込み顧客の獲得・育成が必須です。営業部門だけで取り組むと既存顧客へのアプローチが多くなりがちなので、「売れる仕組み作り」に特化したマーケティング部門との連携が求められます。

この活動を支援するのがMA(マーケティングオートメーション)です。MAはランディングページ・Webフォームの作成機能やOne To Oneメールの一斉送信機能などを備え、マーケティング専任者がいなくても見込み顧客の獲得・育成を効率的に進められます。またWeb会議システムによるウェビナー開催も見込み顧客の獲得・育成に効果的です。

【関連記事】マーケティングオートメーション(MA)の活用で営業効率UPする!

確度の高い顧客にアプローチする

営業戦略の成功のためには、確度の高い顧客にアプローチすることも重要です。顧客ニーズは情報接触や社会環境などによって変化します。しかし経験や勘に頼った営業スタイルでは、顧客ニーズの変化を逃すケースも珍しくありません。

この課題もMAが解決します。MAは確度の高い見込み顧客の自動発掘にも対応するため、顧客リストが膨大でも機会損失のリスクを大幅に低減可能です。

既存顧客と良好な関係を築く

顧客との関係は商品・サービスを一度販売しただけで終わるものではありません。顧客への価値提供とLTV(顧客生涯価値)の最大化のためには、顧客との良好な関係を築くことが必須です。

この課題にはCRM(顧客関係管理システム)の導入が効果を発揮します。CRMは既存顧客の詳細な属性情報や、あらゆるチャネルでの接触履歴を、全社的に一元管理するツールです。これにより各顧客へのきめ細かな対応が可能になり、リピート率の向上やポジティブな口コミの増加、ひいては競争優位性の強化やLTVの最大化につながります。

営業部門全体で営業力を強化する

成約件数を増加させるには営業部門全体で営業力を強化することが重要です。多くの企業は営業部門に以下のような問題を抱えています。

・各営業担当者が抱える社内人脈や営業履歴、営業ノウハウがブラックボックス化している
・営業部門が個人プレーをする社員の集団となっており、チームワークをしない
・ハイパフォーマーと新人社員の成果に差があり過ぎる
・部下のマネジメントが難しい

こういった問題を解決するにはSFA(営業支援システム)の導入が効果を発揮します。SFAは組織的・効率的な営業活動を支援するツールです。SFAの導入により社内人脈や営業履歴を可視化・共有し、上司や同僚がアドバイスしやすい環境を作れます。また営業部門全体で営業ノウハウを共有し、チーム全体でスキルレベルの底上げが可能です。

【関連記事】SFAとCRMの違いを解説!それぞれのメリットもあわせて紹介

営業戦略を成功させるICTツール整備はイッツコム!


営業戦略を成功させるには、SFAやMAなどのICTツールの整備が重要です。イッツコムが提供する「ホットプロファイル」と「Zoom」や「モバイル閉域接続」を組み合わせれば、営業部門全体の仕事環境や業務スタイルを変革できます。

営業部門全体の業務スタイル改革に「ホットプロファイル」

「ホットプロファイル」は名刺管理・SFA・MA一体型のクラウド型営業支援ツールです。ホットプロファイルは名刺のスキャンやCSVファイルの読み込みだけで顧客データベースを自動作成し、各営業担当者の営業履歴を一元管理します。これにより営業部門全体で社内人脈・営業履歴・ノウハウの共有が可能です。

またWeb行動履歴やメール開封履歴のAI分析により「いまホットな顧客」を自動通知し、確度の高い顧客へのアプローチをサポートします。Webフォーム・ランディングページの作成機能やOne To Oneメールの一斉送信機能も備え、見込み顧客の獲得・育成に役立つことも利点です。

遠隔地の顧客へ的確なアプローチ「Zoom」

遠隔地の顧客へアプローチするなら、Web会議システム「Zoom」によるオンライン商談やウェビナー開催が効果的です。無料版Zoomには複数の機能制限がありますが、有料版Zoomは実質無制限で利用できる上、最大1万人参加の大規模ウェビナーの開催にも対応します。

オンライン商談とウェビナー開催に対応することで、遠隔地の顧客との商談と見込み顧客の獲得・育成を効率化できるのが魅力です。ホットプロファイルと連携すればZoomのチャット画面内でオンライン名刺交換ができ、ホットプロファイル上でウェビナー管理やウェビナー紹介ページの作成もできます。

安全かつ効率的な営業活動に「モバイル閉域接続」

営業担当者は出先で顧客情報にアクセスすることが多く、特にホットプロファイルはGPS連携による営業報告や地図連携による営業ルート可視化にも対応するため、社外からWebサービスへアクセスすることが増えます。しかし出先でデータ通信する際には通信速度の安定性や通信速度が問題になりやすく、情報漏えいリスクの高いフリーWi-Fiを利用するケースも珍しくありません。

この問題を解決するのが、安全なデータ通信サービス「モバイル閉域接続」です。スマホやPCに専用SIMを挿入するだけで閉域網・社内LANを経由してWebサービスを利用できるので、社内セキュリティポリシーを標準化でき、安全かつ効率的な営業活動に大いに貢献します。

まとめ


営業戦略において重要なのは、自社ならではの価値を顧客に提供することです。そのためには顧客との関係構築や適切なタイミングでのアプローチが必要となり、SFAやMAを組み合わせた営業スタイルの確立が求められます。

イッツコムが提供するホットプロファイル・Zoom・モバイル閉域接続を組み合わせれば、人的・時間的資源を有効活用した営業スタイルへの移行が可能です。ICTツール活用による営業戦略の成功をお求めなら、複数サービスの組み合わせで適切な価値提供を実現できるイッツコムにご相談ください。