業務用APのメリットと選び方:信頼性と安定性を確保するには?
目次
オフィスでのWi-Fi環境は、業務の効率化や生産性向上に欠かせません。AP(アクセスポイント)は、家庭やオフィスに設置できる専用の基地局のようなものですが、ビジネスでの使用には業務用を選ぶのが望ましいでしょう。特に、多くの従業員が同時にアクセスする環境では、家庭用とは異なる高い性能が求められます。
この記事では、業務用APの選び方について、安定性と信頼性を重視しながら解説します。オフィスの規模や用途に合わせた最適な選択方法を学び、快適で効率的なWi-Fi環境を構築しましょう。
業務用APの特徴とは?家庭用とどう違う?
家庭用と比べて、業務用のAPはより多くのデバイスを同時に接続し、広範囲に安定した接続を提供する必要があります。ここでは、業務用APの特徴と家庭用との違いを紹介します。
業務用はAPとWi-Fiルーターとを別々に用意する
家庭用の無線LAN環境を構築する際には、一般的にAPとWi-Fiルーター機能を兼ね備えた「無線LANルーター」を使用します。一台の機器でインターネット接続と無線LANの両方を提供するため、家庭内の少数のデバイスを効率よく管理できます。
一方、企業では、Wi-FiルーターとAPを別々の機器で用意するのが一般的です。ビジネスユースでは接続デバイス数が多く、広範囲にわたって安定した無線LAN環境を提供する必要があるためです。一台のルーターに対して複数のAPを配置し、各APが特定のエリアをカバーするように設計します。
業務用APは設置方法が柔軟
業務用の無線LAN機器は設置方法が非常に柔軟です。縦置きや横置き、壁掛けなど、オフィス環境に最適な設置方法を選べます。さらに、複数のAPを用意して調整を行うことで、オフィス全体に均一に電波を行き渡らせることもできます。
業務用APはセキュリティレベルが高い
無線LANはデータの盗難や不正侵入を防ぐために通信内容を暗号化しています。暗号規格の種類は下記の通りです。
規格 | 特徴 |
WEP(Wired Equivalent Privacy) | ・最初期の暗号化方式 ・2000年頃から複数のぜい弱性が発見され、利用は推奨されていない |
WPA(Wi-Fi Protected Access) | ・WEPを改良した認証方式 ・ぜい弱性が発見され、利用は推奨されていない |
WPA2(Wi-Fi Protected Access 2) | ・WPAをさらに改良した認証方式 ・強力な暗号化アルゴリズム「AES」を使用した暗号化方式「CCMP」を採用 ・ただしぜい弱性も発見されている |
WPA3(Wi-Fi Protected Access 3) | ・WPA2をさらに改良した認証方式 ・高速Wi-Fi規格「Wi-Fi6」対応機器でサポートが進んでいる |
これらの規格は業務用でも家庭用の無線LANルーターでも利用できますが、最新のWPA3は個人用(WPA3-Personal)と企業用(WPA3-Enterprise)に分かれます。企業用では大規模なネットワークでの使用を想定してあり、高セキュアな環境の構築が可能です。
【関連記事:アクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説】
ビジネス用途なら業務用APがおすすめな理由
家庭用の無線LANルーターでは、多数のデバイスの同時接続や高いセキュリティ要件を満たすのは難しいため、業務用APの導入が求められます。業務用APであれば、多数のデバイスを同時に接続できるだけでなく、安定したインターネット接続を提供し、高度なセキュリティ機能を備えています。以下で詳しく解説します。
100台程度のデバイスも接続可能なため
家庭用の無線LANルーターは、一般的に10〜15台程度のデバイスを接続できるように設計されています。家庭にもスマホ、タブレット、PC、スマート家電などさまざまなデバイスがあるでしょうが、家庭内であれば10~15台で十分な量だと想定しているのでしょう。
一方、業務用の無線LANはより多くのデバイスを同時に接続できるように設計されています。オフィスや店舗、学校などの環境では、多数のPCやスマホ、プリンター、監視カメラなどが同時接続されることが一般的なためです。業務用のAPは40台以上、場合によっては100台程度のデバイスでも同時に接続できる性能を持っています。
安定したインターネット接続には不可欠なため
企業のDX化が進む中で、業務で使用するデバイスはデスクトップPCやサーバーだけにとどまらず、ノートPC、タブレット、スマホなど多岐にわたります。また、「フリーアドレス」環境では従業員が固定席を持たずに社内を移動しながら仕事をするため、業務用APを設置することで業務がやりやすくなるでしょう。
多くのユーザーが同時接続し、大量のデータ通信を行うことから、信頼性と耐久性も重要です。負荷に強い業務用APを導入し、安定した通信速度を維持することで、業務の円滑な進行やクライアントとのスムーズなコミュニケーションを確保できます。
さらに、業務用APには「クライアント帯域制限」機能があり、アクセスしたユーザーに通信帯域を均等に割り当てることができます。これにより、通信速度に差が生じることなく、全員が快適にネットワークを利用できます。
高セキュアな認証方式を扱えるため
家庭用の無線LANルーターは1つのIDとパスワードしか設定できない機器が多く、シンプルなパスワードを使うことが多いですが、機密情報も扱うビジネスユースでは支障をきたす恐れがあります。
法人向けの業務用APであれば、企業用の「WPA2/WPA3-Enterprise」認証方式を用いることで、各ユーザーがそれぞれ異なるIDとパスワードを使ってネットワークにアクセスできます。これにより、ブルートフォースアタックやディクショナリーアタックでの解読リスクを大幅に減らせます。さらに、証明書を利用する認証方式を採用することで、セキュリティをさらに強化できます。
失敗しない業務用APの選び方
ここでは、業務用APの選び方について重要なポイントを解説します。APの同時接続可能端末数、設置環境への対応、セキュリティ機能、管理や運用のしやすさ、さらにサポートや保守体制の充実度について詳しく見ていきます。これらの要素を踏まえ、最適な業務用APを選びましょう。
同時接続可能な端末台数は何台か?
同時に接続できる端末の数は、APの機種によって異なります。小規模なオフィスでは10台程度の接続で十分かもしれませんが、中規模のオフィスでは50台以上、大規模なオフィスでは100台以上の端末に対応できる機器が必要でしょう。
将来的に端末数が増加することを考慮し、余裕を持った最大接続台数を持つ機器を選ぶことを推奨します。
設置環境に耐えられるか?
APには屋内用と屋外用があります。オフィスや店舗内に設置するなら屋内用を選び、壁掛けや天井設置が可能かどうかも見ておきましょう。また、PoE(LANケーブルでの電力供給)対応可能機器であれば、電源コンセントがない場所でも使用できます。
屋外への設置を予定しているなら、防水・防塵設計や耐腐食性能、直射日光対応性能を持つ堅牢なモデルを選びましょう。
セキュリティ機能は十分か?
セキュリティ機能の充実度は極めて重要です。一例として、以下に挙げる機能を確認し、安心して使用できる製品を選びましょう。
・認証
一般的に、業務用アクセスポイントは高度な802.1X認証をサポートしています。
・暗号化
最新のWPA3をサポートしている機器が理想です。
・ゲストポート機能
訪問者に対してインターネットアクセスを提供しつつ、内部ネットワークへのアクセスを制限できます。
・フリースポット認証
カフェやホテルのような公共の場で利用されることが多いフリースポット認証機能ですが、オフィスでも活用できます。
管理や運用はしやすいか?
効率的な管理と運用は、ネットワークの安定性とパフォーマンスを維持するために欠かせません。例えば、以下のような点に注目するとよいでしょう。
・リモート管理機能
複数のアクセスポイントを一元的に管理・設定するなら、遠隔からの設定変更やファームウェアのアップデートを一括で行えるかどうかが重要です。
・インターフェース
直感的に操作できるユーザーフレンドリーなインターフェースを持つAPを選ぶことで、設定やトラブルシューティングが容易になります。
・自動化機能
自動チャネル選択や自動出力調整機能があれば、APが最適なパフォーマンスを発揮できるように環境に応じて自動的に調整を行います。
・スケーラビリティ
将来的な拡張を見越してスケーラビリティが高いものを選ぶことをおすすめします。新たなデバイスやAPの追加が容易であり、ネットワークの拡張に柔軟に対応できる製品を選ぶことで、企業の成長に合わせたネットワーク運用が可能になります。
サポートや保守は万全か?
機器そのものの性能に加え、メーカーのサポートや保守体制の充実度も重要です。問題発生時に迅速な対応が可能か、専門知識を持つスタッフによる質の高い技術サポートが受けられるかどうかを確認しましょう。また、保守契約には定期メンテナンスや迅速なハードウェア交換対応が含まれているほうが安心です。
業務用APを最適化するならイッツコムの「かんたんWi-Fi」!
イッツコムでは、各種フィルタリング機能やブロック機能を搭載したAPを簡単に増設できる「かんたんWi-Fi」を提供しています。使い方は「かんたん」で、APにLANケーブルと電源ケーブルを差し込むだけで利用開始できます。面倒な設定の手間はかからず、配置もしやすいため、レイアウトも自由です。
「ハイエンド6」プランなら最新規格のWi-Fi6やWPA3に標準対応し、同時接続台数は1AP当たり最大100台、高速・安定・安全なWi-Fi環境を整備できます。ゲストWi-Fi機能にも対応するため、来客用に安全なフリーWi-Fiを提供できるのも強みです。
さらに、イッツコムでは365日対応のサポートデスクを整えているため、管理者やIT担当者の負担も軽減できます。接続不良などのトラブルやSSIDの変更、セキュリティ設定の変更もスムーズです。IT関連に詳しい担当者がいなくてもご安心ください。
まとめ
業務でWi-Fiを使うなら、安定性と信頼性を兼ね備えた環境を構築しなければなりません。小規模なオフィスでは家庭用の無線LANルーターで代用することも可能ですが、同時に接続するデバイスの数が多い場合やセキュリティに不安がある場合は、業務用APの導入をおすすめします。
イッツコムの「かんたんWi-Fi」であれば、無線APのフィルタリング機能やブロック機能により、高いセキュリティの環境を構築できます。高速で安全なWi-Fi環境をお求めなら、お気軽にお問い合わせください。