インターネット回線の工事内容とは?立ち会い・期間・流れなどを解説
目次
インターネット回線(光回線)は新規導入・乗り換え・追加いずれの場合でも、利用開始のために開通工事が必要です。物件の光回線整備状況によっては、工事日の立ち会いは必要ありません。工事の範囲はONU(光回線終端装置)の設置・接続までとなるため、LANケーブル配線やWi-Fi接続設定はユーザー自身で行います。
快適なインターネット・Wi-Fi環境を手に入れるために、光回線の工事について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、光回線の工事に必要な事前準備や工事の内容、工事後の作業について紹介します。
インターネット回線(光回線)の工事前に準備しておくこと
インターネット回線(光回線)を契約する際、物件の光回線整備状況に応じた開通工事が必要です。未導入物件の場合、工事担当者が建物への回線引き込みと建物内での配線を行い、契約者の室内で光コンセントとONU(光回線終端装置)を設置・接続して開通テストを行います。スムーズに光回線を利用開始するには、工事前の準備が大切です。
利用するインターネット回線の提供エリアかどうかを確認
光回線の工事前に、使用したいインターネット回線サービスの提供エリアかどうかを確認しましょう。光回線は主に以下3種類です。
・フレッツ光:NTT東日本・西日本が提供する光回線。提携プロバイダを別途契約
・コラボ光:光コラボレーション事業者がフレッツ光回線を借り受けてインターネット回線を提供するもの。基本的に光回線・プロバイダサービスを一括提供
・独自回線:電力会社やケーブルテレビ会社などが提供する、事業者独自の光回線。光回線・プロバイダサービスを一括提供
フレッツ光とコラボ光は、どちらもフレッツ光回線を使用するため提供エリアも同じです。NTT東日本・西日本の公式サイトから提供エリアを確認しましょう。
独自回線はフレッツ光回線ではない自前の光回線網を使用するため、事業者によって提供エリアはさまざまです。事業者の公式サイトから提供エリアを確認しましょう。
【関連記事:独自回線と光回線は何が違う?光回線の種類一覧と特徴を徹底整理】
物件の光回線整備状況を確認する
立ち会い不要で工事が完了するか、物件への回線引き込みなどが必要かは、建物内の整備状況により変わります。過去に工事が行われたかどうかを確認しましょう。
戸建て物件でも集合住宅やオフィスビルでも、すでにフレッツ光や独自回線のインターネット回線を整備済みの場合があります。整備済みかどうかを判断する基準は、室内に光コンセント(光ファイバーケーブルの差し込み口)があるかどうかです。
ただしフレッツ光回線と独自回線では使用する光回線網が異なるため、室内に光コンセントがあっても、使用したい光回線が整備済みとは限りません。光回線の整備状況は、戸建て物件なら不動産会社、集合住宅やオフィスビルなら管理会社やオーナーに確認しましょう。
光コンセントやONUの設置場所を決めておく
室内まで光ファイバーケーブルが引き込まれていない場合、開通工事の際に光コンセントを新たに設置します。光コンセントは1戸につき1つのみ設置するため、工事後に光コンセントの設置場所を変えたい場合、再度工事が必要です。
光コンセントがすでに設置されていても、室内にはONU(光回線終端装置)やホームゲートウェイ(ONUとWi-Fiルーターが一体化した機器)の設置が必要です。光コンセントとONUまたはホームゲートウェイは、室内用光ファイバーケーブルで接続します。さらに、ONUとWi-Fiルーター間はLANケーブルで接続する必要があります。LANケーブルの配線とWi-Fiの接続利便性を考慮し、光コンセントなどの設置場所を事前に決めておくとよいでしょう。
賃貸物件の場合は工事の許可を取っておく
賃貸物件の場合、工事前に管理会社やオーナーの許可を取る必要があります。光回線の工事では、近くの電柱(またはマンホール)から建物内まで光ファイバーケーブルを引き込み、集合住宅やオフィスビルでは共用スペースから各戸への配線工事も行います。
引き込みの際に既存配管を利用できない場合は外壁への穴開けが必要です。また物件によっては、すでに整備済みの光回線以外は導入できない場合もあります。賠償問題など不要なトラブルを回避するために、事前に確認・許可を取っておきましょう。
インターネット回線(光回線)の工事の立ち会いについて
物件内の配線状況や使用する光回線などにより、工事日に立ち会いが必要か不要かは異なります。フレッツ光やコラボ光の場合は無派遣工事(立ち会いが不要)になる場合もありますが、独自回線の場合は基本的に立ち会いが必要です。
派遣工事(立ち会いが必要)になる場合
以下のようなケースは作業員が実地で工事をする派遣工事となるため、工事日に立ち会いが必要です。
・建物内に光ファイバーケーブルが引き込まれていない
・室内に光コンセントが設置されていない
建物内に光ファイバーケーブルが引き込まれていても、共用スペースから室内までの配線がされていないことなどもあります。また、「フレッツ光のみ導入済みの物件に独自回線を導入する場合」「独自回線のみ導入済みの物件にフレッツ光を導入する場合」も、新たに回線工事を行うため、工事日に立ち会いが必要です。
無派遣工事(立ち会いが不要)になる場合
フレッツ光やコラボ光の場合、以下のようなケースは作業員による工事が不要です。NTT局舎内からの遠隔操作で開通工事が完了するため、工事日に立ち会いをする必要はありません。
・フレッツ光の光ファイバーケーブルが引き込み済みで、かつ光コンセントも設置してある場合
・フレッツ光またはコラボ光を利用中で、転用・事業者変更で別のコラボ光に乗り換える場合
無派遣工事はNTT東日本・西日本による独自サービスです。独自回線を利用する場合、建物内の整備状況にかかわらず、工事日に立ち会いが必要になるでしょう。
インターネット回線(光回線)の工事の流れ|戸建て物件の場合
企業によっては戸建て物件を事務所や店舗などに使用しています。戸建て物件の場合は配線の自由度が高く、集合住宅やオフィスビルよりスムーズな工事が可能です。ここでは、戸建て物件で光回線の開通工事をする場合の流れを、3ステップに分けて解説します。
1.物件内へ光ファイバーケーブルを引き込む
まずは物件近くの電柱から物件内に光ファイバーケーブルを引き込みます。なるべく外壁を傷付けないように、電話用配管やエアコンのダクトを通じて引き込むのが一般的です。うまく引き込める経路がない場合は、物件の外壁に直径10mm程度の穴を空けます。
2.光コンセントの設置
物件内に光ファイバーケーブルを引き込んだら、光回線の末端となる光コンセントを設置します。光コンセントには2種類あり、一体型タイプか分離型タイプです。
・一体型タイプ:電気のコンセントなどと一体型になったタイプ。引き込んだ光ファイバーケーブルが配管を通っている場合に採用される
・分離型タイプ:光回線用のコンセントが独立したタイプ。引き込んだ光ファイバーケーブルが露出配線となっている場合に採用される
3.ホームゲートウェイやONUの設置
光コンセントを設置したらホームゲートウェイやONUを設置します。設置が完了したら開通テストを実施し、開通が確認できれば開通工事は完了です。
インターネット回線(光回線)の工事の流れ|集合住宅やオフィスビルの場合
集合住宅やオフィスビルは、築浅物件なら建築時に光回線の配線をしているケースが多く、過去に工事済みの物件もあります。しかし、築古物件は光回線未導入の場合も珍しくありません。フレッツ光導入済み物件に独自回線を導入したい場合、また独自回線導入済み物件にフレッツ光を導入したい場合にも、新たに配線工事が必要です。
1.MDF室まで光ファイバーケーブルを引き込む
集合住宅やオフィスビルは戸建て物件とは違い、光ファイバーケーブルを直接室内まで引き込みません。まずは電柱から棟内共用スペースまで引き込み、PT盤(光ファイバーケーブルの分岐装置)に接続します。棟内共用スペースは電話用のMDF(主配線盤)を収容するMDF室を利用するのが一般的です。
2.スプリッタを経由して室内へ光ファイバーケーブルを引き込む
小規模な物件ならPT盤から直接各戸へ配線する場合もありますが、基本的にはPT盤からフロア単位などで設置されたスプリッタ(PD盤)に配線します。スプリッタから各戸に配線することで、室内まで光ファイバーケーブルを引き込む仕組みです。
3.光コンセントの設置
室内まで光ファイバーケーブルを引き込んだら、光コンセントを設置します。集合住宅やオフィスビルの場合は配管を通して引き込むので、設置する光コンセントは基本的に一体型タイプです。
1つの光回線事業者が設置する光コンセントは1戸につき1つのみですが、以下のケースは室内に2つ以上の光コンセントがある状態になります。
・フレッツ光回線の光コンセントを設置済みの物件に、独自回線を導入する場合
・独自回線の光コンセントを設置済みの物件に、フレッツ光回線を導入する場合
過去導入済みの光回線も契約中であれば、新たに導入する光回線と合わせて、2社以上の光回線を同時に使えるようになります。
【関連記事:インターネット回線の冗長化とは?仕組みや具体的な構成例を一挙解説】
4.ホームゲートウェイやONUの設置
光コンセントを設置したら、戸建て物件と同じくホームゲートウェイやONUを設置します。開通テストをクリアし、ユーザー側でプロバイダやWi-Fiの設定を済ませればインターネットを利用開始できる流れです。
インターネット回線(光回線)の工事後に必要な作業
光回線の工事範囲は、光コンセントとONUの設置・接続および開通テストまでです。その後のインターネット接続作業やWi-Fi環境の整備はユーザー自身で行います。オフィスや店舗の場合、Wi-Fiアクセスポイント(AP)の導入作業が必要になることも多いでしょう。
インターネット接続設定とWi-Fi接続設定
光回線工事後にインターネット接続をするには、ONUとルーターまたはWi-FiルーターをLANケーブルで接続し、PCなどからインターネット接続設定を行う必要があります。接続設定は主に以下の2パターンです。
・ルーターとPCをLANケーブルで有線接続し、PCからインターネット接続設定を行う
・Wi-FiルーターとPCをWi-Fi接続し、PCからWi-Fi接続設定およびインターネット接続設定を行う
Wi-Fi接続設定は接続デバイスごとに行うことが必要です。事業者によってはWi-Fiルーターのレンタルを受けられますが、Wi-Fi接続設定はユーザー自身で行います。
【関連記事:スマホ・タブレット・PCのWi-Fi接続手順と接続トラブル対処法】
LANケーブル配線や追加のWi-Fiネットワーク機器の設置・設定
店舗やフロアの広いオフィスなどに光回線を導入する場合、LANケーブルの配線や追加のWi-Fiネットワーク機器の設置・設定も必要です。この作業は社内対応をするか、専門事業者に委託することになります。
法人のWi-Fi環境整備によく利用されるのは、Wi-Fi接続機能に特化したWi-Fiアクセスポイント(AP)です。ルーターとLANケーブルで接続してWi-Fi基地局を増やし、電波の死角をなくしつつ、多台数接続に対応しやすくなります。高性能な業務用APは高額ですが、事業者によっては法人向けにAPレンタルサービスを提供しており、低コストでの運用が可能です。
【関連記事:Wi-Fiのアクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説】
インターネット回線(光回線)の開通工事にかかる期間や費用は?
光回線の開通工事には予約が必要で、工事は順番待ちです。契約して即日インターネット接続ができるわけではありません。また、特別なキャンペーン時を除いては工事費用が発生します。ここでは、工事期間や工事費用の目安を見ていきましょう。
工事期間の目安
光回線の開通工事には予約が必要です。予約からインターネットが使えるようになるまでは、少なくとも2週間〜4週間はかかります。予約状況や物件の配線状況などによっては1か月〜2か月程度かかる場合もあるので、早めに準備を始めましょう。
工事当日の作業時間は1時間〜2時間程度が目安です。なお、法人向け光回線の場合、物件の設備・環境やオプションサービス(固定IPアドレスや独自ドメイン代行申請など)によっては、開通までの期間が長引くこともあります。
工事費用の目安
光回線の工事費用は回線事業者や物件の配線状況によって異なります。あくまで目安として、2万円〜5万円程度が相場です。物件によっては過去に開通工事をしており、すでに光コンセントが設置されている場合もあります。この場合は工事の立ち会い不要ですが、数千円程度の工事費用は必要です。
また、回線事業者によっては工事費用が実質無料になるキャンペーンを開催している場合もあります。「実質無料」は「完全無料」という意味ではありません。月額料金から工事費用の月割分を割引して実質無料にするという意味で、契約期間中に解約すると残債を一括請求されます。
月額料金や通信速度も検討することがポイント
工事費用は光回線事業者によって数万円程度の差が出る場合もありますが、光回線のトータルコストはランニングコストも含めなければ計算できません。初期費用が高めに見えても月額料金が安く、長期的にはコストを抑えられる光回線もあります。
また光回線の通信速度は下り1Gbpsが基本ですが、下り2Gbpsで費用が同等であれば、より高速な光回線を選ぶほうが有利です。工事費用だけで判断するのではなく、ランニングコストやコストパフォーマンスも計算に入れましょう。
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光回線は回線事業者・プロバイダの組み合わせを考えるとかなり種類が多く、最適なサービスを選ぶのは困難です。イッツコムなら光回線・プロバイダ一体型の法人向け光回線を提供しています。また、光回線とともに導入したいWi-Fiアクセスポイントのサービスも提供しており、一括導入でオフィスの通信環境のトータルアップグレードが可能です。
フレッツ光との併用にも最適な高速独自回線「イッツコム光接続サービス」
ビジネスユースの光回線に重要なのは通信速度と安定性です。イッツコムの法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」なら、下り最大2Gbps・上り最大1Gbpsの高速回線を利用できます。最新の通信方式IPv6 IPoEに標準対応しており、時間帯にかかわらず安定した通信速度を発揮できることも利点です。
イッツコム自前の光回線網による独自回線であるため、追加の光回線としてもおすすめできます。フレッツ光回線と併用することで、高負荷時や通信障害時にも安定してインターネット接続ができるでしょう。
プロバイダ一体型のサービスなので、プロバイダ料金が別途かかることもありません。さらに電話サポート以外のオプションサービスは選択制なので、他社サービスよりランニングコストを抑えられることも魅力です。
光回線のスペックを生かす高性能APなら「かんたん Wi-Fi」
オフィスのインターネット回線をアップグレードする際、イッツコム光接続サービスと併せて導入したいのがWi-Fiアクセスポイント(AP)です。APとルーターをLANケーブルで接続すれば、Wi-Fiルーター以上に高性能なWi-Fi基地局を好きな場所に増設できます。
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「ハイエンド6」プランのAPはWi-Fi区間の最大通信速度が2.4Gbpsで、2Gbpsクラスの法人向け光回線のスペックを生かす組み合わせとして最適です。Wi-Fi6対応の上、1AP当たり最大100台まで同時接続ができます。安全なフリーWi-Fiの提供に必須のゲストWi-Fi機能も充実しており、従業員にも来客にも快適なWi-Fi接続を提供可能です。
まとめ
インターネット回線(光回線)の導入時、フレッツ光回線なら立ち会い不要の無派遣工事になる場合もありますが、独自回線は基本的に立ち会いが必要です。開通工事の完了後、LANケーブル配線やWi-Fi接続設定はユーザー自身で行います。Wi-Fi接続が必要なエリアや同時接続台数を想定し、余裕のあるネットワーク構成を計画しておきましょう。
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