MA(マーケティングオートメーション)ツールの機能や選び方を解説
目次
MA (マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティングの自動化・効率化や営業アプローチの改善を叶えます。システムによってはマーケター不在の営業組織でも無理なく活用でき、SFA(営業支援システム)・名刺管理など関連ツールとの組み合わせにより、マーケティング・営業の総合的な改善が可能です。
マーケティング・営業に課題を抱えており、MAツールについて理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、MAツールの導入効果やサービス選定のポイントについて紹介します。
MAツールとは?なぜ導入が求められるのか
MAツールはマーケティングプロセスの自動化だけでなく、One To Oneマーケティングの実現やデジタルコミュニケーションの円滑化を叶えます。MAツールはアメリカで生まれたもので、欧米企業では一般的です。日本でも徐々に活用が浸透しており、今後も市場規模や導入率は拡大すると見られています。
MAツールでマーケティングプロセスを自動化
MAツールとは、見込み顧客の獲得・育成およびホットリード抽出までの一連のマーケティングプロセスを、総合的に管理・自動化・効率化するツールの総称です。営業活動に入る前の、以下のプロセスを担います。
・リードジェネレーション:自社 WebサイトやWeb広告などを通じた潜在顧客の集客
・リードナーチャリング:メルマガなどを通じた顕在顧客への転換と購買意欲の喚起・醸成
・リードクオリフィケーション:複数マーケティングチャネルにおけるリード情報の追跡と分析により、購入確度の高い見込み顧客(ホットリード)を抽出
MAツールは基本的にデジタルマーケティングの分野で活用しますが、ツールによっては展示会などオフラインのマーケティングチャネルにも対応可能です。
One To Oneマーケティングを実現
MAツールは大量生産・大量消費を前提としたマスマーケティングから、消費者個別のニーズに合わせたOne To Oneマーケティングへの転換を実現するツールです。
複数のデジタルなマーケティングチャネルを通じて、マンパワーでは抜け漏れが起きやすい情報の収集・分析・提供を自動化します。見込み顧客の属性やニーズ変化などに応じて、提供する情報を個別またはセグメント別に最適化し、商品・サービスの契約までの関係構築を効率化する仕組みです。
リード情報にはメールアドレス・IPアドレス・Cookieといった電子的な情報を関連付けるため、まだ名刺交換や問い合わせフォームなどで情報を得ていない潜在顧客についても、ユーザーを特定してニーズの変化を把握できます。
デジタルコミュニケーションがスムーズ
マーケティング・営業における従来のコミュニケーション手段は、電話・FAXまたは対面が主流でした。現在はデジタル技術の進歩により、メール・SMS・チャット・Web会議・SNSなど、スマホによるデジタルコミュニケーションが主流になっています。
また消費者は商品・サービスの検索・比較・契約がWeb経由で完結することが増え、さらにデジタルデバイス上でコンテンツ消費をすることも一般的です。
MAツールはこの消費行動の変化に適応します。デジタル分野ならCPUの計算能力だけでなくクラウドやAIも活用できるため、複数チャネルにまたがる情報の関連付けも、Webアクセス解析・メール配信・データ分析などの自動化も容易です。
マンパワーでは困難ですが、MAツールなら不特定多数の見込み顧客とのデジタルコミュニケーションをスムーズに実行できます。
国内MAツール導入率は今後も拡大の見込み
国内MAツール市場は拡大を続けています。2020年の新型コロナウイルス感染拡大でオフラインコミュニケーションが難しくなり、東京ビッグサイトなどで行われる展示会が軒並み中止・延期となったことは、多くの企業にマーケティング・営業のオンラインシフトが必要である現実を突き付けました。
2021年にはマスコミ四媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)の広告費をインターネット広告費が上回るなど、マスマーケティングもデジタル分野へシフトしています。
同時にMAツールの導入率も拡大傾向にあり、大企業だけでなく中小企業にとっても、デジタルマーケティングが重視されている状況です。
MAツールで解決できる課題と導入したい組織
MAツールを活用すると、マーケティングの改善により営業も改善できます。既存のデジタルコンテンツをマーケティングツールとして機能させられ、人手不足でも効率的に運用できるでしょう。結果、大企業だけでなく中小企業も多大な恩恵を享受できる可能性が高いです。
手当たり次第な営業を改善できる
従来の営業手法では、営業担当者がアプローチするまで見込み顧客の人物像が見えないことも珍しくありません。例えばテレアポは、電話番号・住所・氏名(企業名)などの断片的な文字情報だけを持った状態でアプローチします。お互いが何の面識もなく行われる飛び込み営業も同様です。
こういった一方的な営業手法は見込み顧客の警戒心や不快感を煽りやすく、失敗が多い上、企業の信用を損ねる恐れもあります。
その点、MAツールなら見込み顧客の興味やニーズに応じたデジタルコミュニケーションを重ね、リード情報を多角的かつ詳細に検討できます。人物像を明確化した状態で営業担当者に引き継ぐことも可能になります。
どのような人物が何を求めているか、購入意思の度合いなどの状態も把握でき、「手当たり次第な営業」を大幅に改善できるでしょう。
【関連記事:営業DXとは?必要性・推進方法や成功のポイント、失敗例やツール整備を解説】
新旧の見込み顧客に最適なタイミングでアプローチできる
MAツールはスコアリング機能によってタイミングを逃さない営業を支援できますが、評価対象は新しく獲得した見込み顧客に限りません。
マンパワーによる営業活動だと、アクションやニーズの変化が見えにくい潜在顧客は、アプローチの優先順位を下げ眠らせたままになりがちです。せっかく商品・サービスを認知してもらっても関係を維持できず、未来のロイヤルカスタマーを取りこぼしている可能性もあります。
MAツールならマンパワーでは無視されがちな潜在顧客の動向も追い続け、平等に評価対象にするとともに、自動的に最適なアプローチが可能です。
デジタルコンテンツをマーケティングツールとして機能させる
MAツールを活用すれば、メール・Web広告・Webサイト・SNSなどのデジタルコンテンツがマーケティングツールとして機能するようになります。
デジタルマーケティング施策を重視していない企業は、「Webサイトやブログを開設しただけ」「電話営業の代わりに手入力のメールでアプローチする」といったケースも珍しくありません。デジタルコンテンツがばらばらに運用され、それぞれの活動・施策がどのような成果につながっているか分からない問題もありがちです。
MAツールなら異なるKPIを追う複数の活動・施策を一元管理でき、一連のマーケティング施策(キャンペーン)として戦略的な活動を自動化できます。
人手不足でも効率的に運用できる
MAツールは中小企業や専任のマーケターが不在の組織でも運用可能です。見込み顧客の情報は複数チャネルから自動的に収集され、既存メールアドレスのインポート作業などを除き、ユーザーによる入力作業は最小限で済みます。
大量のアクセスがある自社Webサイトを運用していたり、アプローチするリードのリストが大規模になったりしても、マーケティング活動の大部分は自動化できます。マンパワーだと多大な工数を要するデータ分析も自動化されるため、手間がかからず、専門知識も必要ありません。
元々、MAツールは営業部門によるマーケティング活動の効率化を前提として発展した経緯があります。営業担当者が案件数を増やすために活用することも可能なので、「マーケティング・営業を改善したいが人手不足」という企業にもおすすめできます。
MAツールの基本機能とできること
MAツールは種類が豊富で搭載機能もさまざまです。一般的には以下のような機能を搭載しています。
・メールの自動配信機能
・Webアクセス解析・トラッキング機能
・LPや登録フォームの作成管理機能
・スコアリング機能
・リード情報の管理機能
ここでは、これら基本機能の特徴やできることを解説します。
メールの自動配信機能
メール配信はMAツールの基本機能の1つです。単純にメールアドレスのリストへ一斉配信するのではなく、個人やセグメントごとに最適な内容のメールを配信できます。
メルマガ形式の他に、見込み顧客の氏名を自動入力するなどOne To One形式のターゲティングメールの自動配信が可能です。ツールによっては以下のようなメールも自動配信できます。
・トリガーメール:資料請求や問い合わせなどの行動をトリガー(引き金/きっかけ)として、特定のメールを自動送信する
・ステップメール:購買行動のシナリオを設計し、決められたスケジュールで複数のメールを段階的に自動配信する
【関連記事:無料メール配信システムの比較ポイントとは?有料版との違いやMAの有用性も】
Webアクセス解析・トラッキング機能
Webアクセス解析およびトラッキングもMAツールの基本機能の1つです。Webサイト・Web広告・メールなどに計測用のタグを挿入したり、接続ユーザーとIPアドレスやCookieを紐づけたりして、以下のような行動履歴を一括で収集します。
・自社WebサイトにどのWeb広告からいつ流入したか
・自社Webサイト内のリンクをどのように遷移したか
・どのページにどれくらいの時間滞在したか
・メールのリンクをクリックしたか、また遷移先でどのようなアクションをしたか
LPや登録フォームの作成管理機能
MAツールはLP(ランディングページ)や登録フォームを専門知識不要で作成・管理する機能も備わっており、見込み顧客の獲得・育成・スコアリングを支援できます。
作成したLPごとの流入経路・滞在時間・CV率を計測できる他、登録フォームの入力情報を自動的に顧客データベースに統合、さらにメールの自動配信などと組み合わせられる仕組みです。
ツールによってはWebサイトやブログ全体を作成・管理でき、さらにチャットボットとのやり取り履歴を収集できるものもあります。
スコアリング機能
獲得した見込み顧客のスコアリングを自動化できます。メールへのリアクションやWebサイト上の行動履歴など、チャネルごとに事前設定した基準を用い、購入確度や「いつ営業アプローチをすべきか」を総合的に評価する仕組みです。
ツールによっては、評価が一定ラインを越えた見込み顧客を自動通知する機能も備えています。
リード情報の管理機能
複数チャネルから収集し、蓄積したリード情報をダッシュボード機能などで一望でき、レポートとして出力することもできます。例えば見込み顧客の属性情報やWeb関連の行動履歴、受注確度の高さなどです。
ウェビナー(オンラインセミナー)・アンケート・メッセージングアプリ、会場型セミナーや名刺交換など、オフラインコミュニケーションのリアクション情報も含めて管理できるツールもあります。
リード情報はシステム利用者全員で共有できるため、精度の高いプロフィールに基づく営業活動が可能になるでしょう。
MAツール選定・導入のポイントは?
MAツールを選定・導入するに当たっては、まず自社の課題とMAツールの必要性を明確化することが重要です。またツールによって機能や使い勝手は大きく異なるため、BtoC・BtoBどちら向けかをまずチェックし、搭載機能・インターフェースも精査しましょう。関連ツールと一体型または連携できるかも重要なポイントです。
自社の課題とMAツールの必要性を明確化する
まずは「自社にどのような課題があるのか」「MAツール運用で何を達成したいのか」を明確化することが必要です。
MAツールを導入すると、マーケティングや営業の仕組みが大きく変わります。場合によっては、ツール導入に合わせて組織構造や人員配置の変更も求められるでしょう。
ベストなMAツールを選ぶことも重要ですが、現場で積極的に活用されなければ意味がありません。社内稟議を通すだけでなく、システムを実際に利用するユーザー(マーケター・営業担当者・マネージャーなど)から理解を得るという意味でも、自社の課題やMAツールの必要性を明確化することは重要です。
B to C・B to B向けのどちらのMAツールが適しているか
自社のビジネスがBtoCかBtoBかに合わせ、最適なMAツールを選ぶことも重要です。商品・サービスの想定ユーザーが一般消費者なのか組織(または従業員)なのかでは、収集すべき情報やアプローチの考え方が異なります。
例えば、BtoBだと名刺情報は重要ですが、BtoCには必要ありません。BtoCなら営業担当者の介入不要で購入される商材もよくありますが、BtoBはマーケティングプロセスおよび商談プロセスが複雑になりがちです。
MAツールにはBtoC向けとBtoB向けがあるため、システム利用者がキャンペーンやリード情報を管理しやすいように、自社の商品・サービスの性質に合ったツールを選ぶことが重要です。
本当に課題解決ができるのか?使いやすそうか?を精査する
MAツールは機能のバリエーションが豊富です。契約プランによって利用できる機能が違うことも多く、よくよく調べてみなければ、自社の課題解決に必要な機能があるか分からない場合もあります。
また、多機能で使いこなせないMAツールより、必要な機能がそろった使いやすいMAツールを選ぶことも大切です。メール関連の機能やホットリードの抽出・通知機能など、自社の課題を達成できる十分な機能性があり、かつ現場で使いやすいツールを選びましょう。
関連ツールと一体型または連携できるかも検討しよう
MAツールはSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)など、関連ツールと一体型のものもあれば、連携できるものもあります。ツールによっては広告配信システムやSNS、Web会議システムなどとの連携も可能です。
外部ツールと連携できるものは拡張性が高い一方、複数ツールを使い分ける必要があります。コストの肥大化や、人員配置が複雑になる懸念もあるでしょう。基本的には、1つのツールで必要な機能・ツールを完結できるものがおすすめです。
【関連記事:SFAとCRMの違いとは?役割・想定ユーザーや機能差を易しく解説】
BtoBに必要な機能がそろったMAツールならイッツコム!
BtoBのマーケティング・営業を改善するなら、MA・SFA・CRM・名刺管理一体型の国産ツール「ホットプロファイル」と、マーケティング・営業関連ファイルの一元管理ができる「Box」の組み合わせがおすすめです。シンプルな構成で必要な機能がそろうため、リソースに不安のある中小企業でも便利に活用できます。
MA・SFA・CRM・名刺管理一体型の「ホットプロファイル」
MAツールはSFAやCRMと連携することで、営業活動や受注後のサポートなども総合的に支援できます。しかし複数ツールの使い分けは難易度が高く、コストも高くなりがちです。
MA・SFA・CRM・名刺管理が一体型の向けクラウド型ツール「ホットプロファイル」なら、BtoBのマーケティング・営業に必要な機能が1つのツールでそろいます。
名刺のスキャンやCSVファイルの読み込みだけで、専任のオペレーターが高精度に名寄せしつつ顧客データベースを作成し、眠っていた社内人脈を手間なく活用可能です。
LP・登録フォームの作成管理やメール配信・Webアクセス解析・ホットリード抽出などのMA機能の他、案件・商談・予実管理やオンライン営業報告、営業ルートの最適化などのSFA機能も利用できます。
リード情報は1つの画面で一望でき、インターフェースや操作方法もシンプルなため、マーケティングと営業の総合的な効率化が可能です。
マーケティング・営業関連ファイルの一元管理なら「Box」
マーケティングや営業をデジタル化すると、Web関連素材・ホワイトペーパー・契約書類など、さまざまなファイルをデータとして保存することが求められます。
容量無制限のクラウドストレージ「Box」なら、あらゆるファイルの安全な一元管理が可能です。スマホやタブレットでアクセスして出先からファイルを操作したり、必要な資料をコンビニで出力したりすることもできます。
また「Box Sign」による無制限の電子サインと「Box Relay」によるワークフロー自動化を組み合わせ、承認・契約プロセスをBox上で完結させることも可能です。
まとめ
MAツールはマーケティングプロセスを自動化するだけでなく、One To Oneマーケティングの実現やデジタルコミュニケーションの円滑化にも役立ちます。手当たり次第な営業から「タイミングを逃さない営業」も可能となり、既存のデジタルコンテンツをマーケティングツールとして機能させられることもメリットです。
MAをSFA・名刺管理・CRMと連携することで、営業効率をさらに向上できます。イッツコムが提供するオールインワン型の「ホットプロファイル」とコンテンツマネジメントシステム「Box」の組み合わせは、マーケティング・営業の組織改善に最適です。MAツールの導入をお考えなら、シンプルな構成で最大の導入効果をサポートできるイッツコムにご相談ください。