展示会で集客につながるディスプレイのコツは?ブース予約から解説
目次
展示会は新規商品・サービスのアピールや商談機会創出などの場として、全国のさまざまな企業に活用されています。展示会の出展効果を最大化するために、ディスプレイのコツを知りたい方もいるのではないでしょうか。
まずは自社ブースの位置・面積を確定させ、来場者目線でディスプレイ要素を最適化することが大切です。本記事で紹介するディスプレイの基本的な考え方や、最適化のコツを参考に、出展効果の最大化を目指しましょう。
展示会におけるディスプレイとは?
東京ビッグサイトや幕張メッセなどで開催される展示会に出展し、自社の商品やサービスをアピールする場合、「ディスプレイ」を最適化できるかどうかが出展効果を大きく左右します。まずは展示会におけるディスプレイの重要性を解説します。
展示会や空間デザインを支える重要な要素
ディスプレイは、「展示・陳列」や「表示」を意味する言葉で、展示会におけるブースに設置されるさまざまな要素を指します。液晶ディスプレイなどモニターの表示部分を指す他、ブースの看板やパネル・バナースタンド・ポスター、展示品そのものもディスプレイです。
展示会やショールームなどの空間デザイン・装飾・施工を手掛ける業界をディスプレイ業界と呼び、大小さまざまな専門業者がディスプレイ関連の事業を営んでいます。
ディスプレイ最適化で出展効果を最大化
展示会でのディスプレイは、来場者の目を引き、出展企業や商品・サービスの魅力を伝える上で欠かせない要素です。
展示会には、ビジネスパーソンとの名刺交換や商談を目的とするものから、一般来場者向けの宣伝や販売を目的とするものまで、さまざまな種類があります。しかし、どの展示会でも「ただ出展するだけ」では十分な効果を得ることは難しく、他社ブースと比較されることで自社の評価を損なう可能性もあります。
そのため、ディスプレイを工夫して来場者の動線や視線を効果的に誘導し、コンテンツの魅力を最大限に引き出すことが重要です。ブースデザインやディスプレイの細部にこだわることで、多くの出展企業の中から自社のブースが注目を集め、商談や販売促進といった目的の達成につながります。
展示会におけるディスプレイの基本的な考え方
展示会の基本として、自社ブースの位置や面積が確定していなければ、具体的なデザインやディスプレイは考えられません。まず出展する展示会選びとブースの場所取りが必要です。
ディスプレイ要素は自社で持ち込み・設置もできますが、専門業者によるデザイン・装飾・施工やレンタルサービスを活用することもできます。ディスプレイ要素の配置は、「AIDMA」や「VMD」の考え方を取り入れるとよいでしょう。
効果的な出展には展示会選びとブース位置が鍵
ディスプレイ効果を最大化するには、まず自社の商品やサービスを効果的にアピールできる展示会を選び、適切なブースの場所を確保することが重要です。東京ビッグサイトや幕張メッセといった大規模な展示会場では、年間を通じて多種多様な展示会が開催されています。
ブースの区画は「小間(こま)」と呼ばれる単位で細かく分けられており、小規模な1~3小間から、大規模な10小間以上のスペースまでさまざまです。通路の位置1つで会期中の人通りが大きく異なるため、メイン動線に近い場所を確保することが成功の鍵となります。ブース予約は早い者勝ちで、通常、会期の2~4か月前にはすべてのブースの配置が決定します。
また、「○○展2024」のように毎年開催される展示会では、次回開催の予約を会場で受け付けている場合もあります。出展時の雰囲気をつかむためにも、1年以上前から希望する展示会を選定し、施工日や会期中に実際の会場を訪れると良い準備ができるでしょう。
専門業者に依頼する範囲をよく検討する
展示会への出展が確定すると、ブースの広さや場所、隣接する出展企業が明らかになります。このタイミングから具体的なブースデザインやディスプレイの要素を検討し始めるのが一般的です。
出展費用を抑える企業の中には、オクタノルムなどのシステム部材を活用し、基礎壁に最低限のディスプレイを配置するだけで済ませる場合もあります。しかし、ブースデザインに工夫を凝らすことは、自社のブランドや商品を効果的にアピールするために欠かせないポイントです。
自社でディスプレイの搬入・設置・搬出を行う場合には、既製品の展示台やひな壇の購入を検討することもできます。ただし、ブース設計や施工、さらには搬出日の対応などを一括で依頼できるディスプレイ業者に依頼するのが一般的です。展示台やモニターを自前で用意するか、レンタルにするかなど、業者に依頼する範囲を事前によく検討することが重要です。
AIDMAに基づいてストーリー性のあるディスプレイを検討する
自社ブースのディスプレイ要素は、AIDMA(アイドマ)に基づいてストーリー性のある配置を検討しましょう。AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つです。商品・サービスを知り(Attention)、興味を持ち(Interest)欲しいと思い(Desire)、記憶して(Memory)購入・取り引きに至る(Action)という一連の流れを表します。
以下のような流れを意識して、ディスプレイ要素の種類や配置を検討しましょう。
1.Attention(注意):目立つ色合いのパネルやポスターなどで来場者の注意を引く
2.Interest(関心):ターゲットに刺さるキャッチコピーなどで商品・サービスに対する興味を引き出す
3.Desire(欲求):使用例の紹介や体験コーナーなどで購買意欲を引き出す
4.Memory(記憶):パンフレット配布や公式Webサイトへの誘導などで商品・サービスを覚えてもらう
5.Action(行動):問い合わせ・商談・購入などのアクションに誘導する
VMDに基づく視覚的な販売戦略を取り入れる
展示会のディスプレイ効果を高めるには、VMD(Visual Merchandising/ビジュアル・マーチャンダイジング)の考え方を取り入れることも効果的です。VMDとは、視覚的効果を活用したマーケティング手法を指します。VMDにおいては、VP・PP・IPという3種類のアプローチが重要です。
- VP(ビジュアル・プレゼンテーション):色合いや照明を工夫して企業やブランドなどのコンセプト・テーマ・イメージを視覚的に表現し、集客効果を高める
- PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション):目に付きやすい場所・高さにパネルや展示品を配置し、来場者の動線・視線を誘導する
- IP(アイテム・プレゼンテーション):展示品を視覚的に分かりやすく分類・整理して陳列し、来場者が手に取りやすくする
ディスプレイ要素の見方は来場者視点で考える
AIDMAやVMDを活用する際は、来場者の視点で考えることが重要です。展示会は新商品の発表の場として活用されることが多いため、予備知識のないターゲット層に対し、興味を引き、理解を促すディスプレイの工夫が求められます。
来場者の動線や視線は、狭い通路や混雑したメイン通路では異なり、ブース内の情報に気付いてもらえるかどうかにも影響します。理想的に見えるCGパースでデザインされたブースであっても、注目を集める競合他社ブースとの位置関係次第では、来場者の視線がディスプレイに向かない場合もあります。このような場合、デザインの差別化が不可欠です。
実際に展示会場を訪れた来場者の目線で、自社ブースまで足を運んだ場合をシミュレーションし、そこで得られる体験をよくイメージしましょう。
展示会におけるブースやディスプレイ要素の見せ方のコツ
来場者目線で自社ブースのディスプレイ要素の最適化を考える際、押さえておきたいポイントがあります。例えば、パネルの配置やブース全体の色味のバランス、販促ツールの手に取りやすさです。実演・体験コーナーは訪問者を維持する効果もあることを想定し、デジタルサイネージによる動画・音声を使った訴求も活用を検討しましょう。
パネルは視認性を重視して設置する
展示会のディスプレイ要素として代表的なものに、スチレンボードなどを使用したパネルがあります。これには、来場者をブースに誘導するキャッチコピーパネルや、商品の新規性や特徴を伝える商品紹介パネルがよく活用されます。また、商品のデモンストレーションや特別ゲストによるセミナーを行う際には、タイムスケジュールを案内する自立型パネルを設置する場合もあります。
これらのパネルは重要な情報を伝える役割を担いますが、静的なディスプレイであるため、来場者の動線や視線を考慮し、視認性を十分に確保できる位置や高さに設置することが重要です。例えば、キャッチコピーパネルはブース入り口付近の高い位置に設置することで効果を発揮しますが、他のディスプレイ要素の視線を妨げないよう配置に配慮が必要です。
さらに、通路を移動する来場者が一瞬で内容を理解できるよう、情報量を絞り、フォントや色味を工夫して視覚的にわかりやすく仕上げることも求められます。
ブース全体の色数を絞り色味のバランスを調整する
ブースデザインの配色も重要です。ブースを目立たせようとすると、できる限りカラフルに仕上げたくなるかもしれません。しかし色数を増やすほどブース全体のまとまりがなくなり、来場者は重要な情報にフォーカスを絞りにくくなります。
情報を読み取りやすい配色の基本的なルールは、使う色数をベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの3色に絞ること、各色を70:25:5のバランスで使用することです。
- ベースカラー:壁面・床面など最も広い面積で使われる、白やベージュなど主張の弱い色(背景色)
- メインカラー:ブースデザインの中心となる、企業のコーポレートカラーや商品イメージを伝える色
- アクセントカラー:キャッチコピーや商品説明など、最も重要なディスプレイ要素に使用する色
販促ツールは手に取りやすい位置に配置する
パンフレットやカタログといった販促ツールを活用し、来場者へのフォローを充実させることも重要です。「ブースが混雑していて入れない」「体験コーナーの順番待ちが長い」といった状況はよくありますが、これを放置すると商機を逃す可能性があります。企業や商品を記憶に残してもらうためにも、販促ツールを手に取りやすい位置に配置することが大切です。
カタログホルダーを使えば、卓上スタンドや展示台への壁掛け設置が可能で、スタンド式のカタログラックもブースレイアウトに応じて便利に活用できます。設置場所に配慮することで、来場者が気軽に手に取れる環境を整えることができます。
特に混雑時には、奥まった場所に配置すると視認性が低下し、手に取りにくくなるため、入り口付近で高すぎず低すぎない位置に設置するのが効果的です。また、通路の混雑が予想される場合には、通路から1~2歩入った場所に設置することで、立ち止まりやすくなり、より多くの人に手に取ってもらいやすくなるでしょう。
実演コーナーや体験コーナーで訪問者を維持する
実演コーナーや体験コーナーは、商品の魅力をより深く、実感を伴って理解してもらうために重要なディスプレイ要素です。また、訪問者が誰もいないブースは、「注目されるほどの魅力がなさそうだ」「1人で入るのは気が引ける」といった印象を与えかねません。
実演や体験を取り入れることで、自社ブースを訪れてくれた来場者の滞在時間が長くなり、ブースへの訪問を途切れさせない効果を期待できます。
実演・体験コーナーは、通路から見えやすい位置に配置するのがおすすめです。人だかりや順番待ちができることで、注目度の高さや盛り上がりを演出しやすく、来場者の足を止めやすくなるでしょう。ただし人だかりができると、その他のコンテンツへの動線・視線をさえぎる恐れもあるため、動線設計によりブース内の回遊しやすさも確保することが大切です。
デジタルサイネージによる動画・音声を使った訴求を活用する
視覚的なディスプレイ効果を高めるためには、デジタルサイネージの活用も重要です。説明すべき情報量が多い商品の場合、また特定の関連機器や使用環境が前提となる商品の場合、展示品にパネルを併設しただけでは新規性・魅力やユースケースをイメージさせにくいでしょう。
静的なディスプレイだと訪問者に注意力や読解力を求めることになり、テキストやイメージ図だけでは概要を表現しにくいこともあります。こういった場合、ブース内にデジタルサイネージを設置し、スライドや動画を使って情報を伝えるのが効果的です。
パネルよりもインパクトのある訴求ができる他、ストーリー性のある表現がしやすく、音声による解説で理解を補助することもできます。サイネージ端末は専門業者からレンタルもできますが、自前で用意すると毎回変わらない使用環境で運用の精度を高めやすいのが利点です。
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デジタルサイネージは展示会のディスプレイ要素として重要です。1つのサイネージ端末で複数のコンテンツを出し分けられ、会期中にビジネスパーソン向け・一般客向けなどで配信スケジュールを変更することもできます。
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まとめ
展示会で商品・サービスの説明が必要な場合、パネルを多用することもありますが、枚数や文字数を増やすほど視認性もブースの魅力も低下しがちです。デジタルサイネージは1つの配信面で情報を出し分けられ、ブースのデザイン性を損なうことなく、多くの情報を効果的に伝えられます。
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