デジタルサイネージのSTBとは?5つの主要な機能や選ぶポイント
目次
STB(セット・トップ・ボックス)は、動画や画像などのコンテンツをディスプレイに表示するための機器です。しかし、デジタルサイネージの導入に際して、「ディスプレイだけでは使えないのか」「STBはどのようなものを選べばよいのか」など、疑問のある方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、STBの基本的な仕組みや主な機能、配信方式の違いに加え、導入時に押さえておきたい選び方のポイントを解説します。
デジタルサイネージの「STB(セット・トップ・ボックス)」とは?

STB(セット・トップ・ボックス)とは、デジタルサイネージで表示する動画や画像、テキストなどのコンテンツを再生し、ディスプレイへ出力する小型端末のことです。メディアプレイヤーと呼ばれることもあります。
クラウド上のCMS(コンテンツ管理システム)やUSBメモリなどからコンテンツを読み込み、ディスプレイに表示する役割を担います。一般的なPCでも映像や画像の表示は可能ですが、サイネージ用STBは店舗や施設での常設表示に使いやすいよう設計された製品が多い点が特徴です。
STBでできる主な機能

STBは単に映像を映し出すだけの機器ではありません。コンテンツの再生はもちろん、表示スケジュールの管理や遠隔更新、複数拠点の一括運用など、デジタルサイネージを効率的に活用するためのさまざまな機能を備えています。
ここでは、STBで実現できる主な機能について詳しく見ていきましょう。
動画や画像などのコンテンツを再生する
STBの基本機能は、動画や静止画などのコンテンツをディスプレイに表示することです。飲食店のメニュー表示、小売店のセール告知、クリニックの診療案内など、業種に応じてさまざまな使い方ができます。
ただし、対応できるファイル形式や表示方法は機種によって異なります。利用したいコンテンツに合うかどうかは、導入前に確認しておきましょう。
時間帯や曜日に合わせて表示内容を切り替える
サイネージ用STBやCMSには、設定したスケジュールに沿って表示内容を切り替えられるものがあります。時間帯や曜日ごとに情報を出し分けることで、来店客や利用者の状況に合った発信がしやすくなります。
例えば飲食店では、朝はモーニングメニュー、昼はランチメニュー、夕方以降はテイクアウト案内を表示するといった運用が考えられます。曜日限定キャンペーンや休診日のお知らせ、季節商品の告知なども、あらかじめ配信予定を設定しておけば、必要なタイミングで表示できます。
遠隔から複数台のサイネージを更新する
クラウド型のSTBや配信システムを利用すれば、離れた場所にあるサイネージの表示内容をインターネット経由で更新できます。
複数店舗や複数拠点でサイネージを運用する場合、本部や事務所から表示内容をまとめて変更しやすくなります。店舗ごとにUSBを差し替える手間を減らせるため、更新作業の効率化につながります。
無人運用や安定運用をサポートする
店舗や施設でサイネージを常設する場合は、営業時間中に安定して表示を続けられる機器構成が求められます。サイネージ用STBには、電源投入後の自動起動、コンテンツの連続再生、端末状態の確認、異常時の再起動などに対応する製品もあります。
長時間稼働や複数台運用を前提にする場合は、再生の安定性、端末状態の確認方法、トラブル時の復旧手順も比較材料に含めるとよいでしょう。
必要に応じて外部機器やタッチ操作と連携できる
STBや配信システムによっては、タッチパネルや各種センサー、外部システムと連携できるものもあります。外部機器と組み合わせることで、情報を一方的に表示するだけでなく、利用者が操作できるインタラクティブなサイネージとして活用できます。
例えば、商業施設のフロア案内や商品検索端末、受付案内システムなどでは、タッチ操作による情報提供が活用されています。また、対応機器を組み合わせれば、人感センサーと連携して、人が近づいたときにコンテンツを再生するといった運用も考えられます。
ただし、こうした機能は機器の対応可否やシステム連携、コンテンツ制作の負担も関係します。小規模な店舗ではオーバースペックになることもあるため、まずは通常の動画・画像配信から優先して検討するとよいでしょう。
STBが不要な「SoC型デジタルサイネージ」とは
デジタルサイネージには、外付けのSTBを使わない「SoC(System on Chip)型」という選択肢もあります。SoC型は、コンテンツ再生に必要な機能をディスプレイ内部に組み込んだタイプです。
外付けSTB本体や設置用金具を省略できるため、設置まわりをシンプルにしやすい点がメリットです。また、STBとディスプレイを接続するHDMIケーブルなどを減らせるため、配線がすっきりし、接触不良や外部機器の故障といったトラブル要因も抑えやすくなります。
| 項目 | STB型 | SoC型 |
|---|---|---|
| 映像再生機能 | 外付けSTBを使用 | ディスプレイに内蔵 |
| 配線 | STB接続用ケーブルが必要 | STB接続用ケーブルを減らせる |
| 拡張性 | 高い | 機種によって制限あり |
| メンテナンス | STB交換で対応しやすい | ディスプレイ本体への依存が大きい |
デジタルサイネージSTBの配信方式

デジタルサイネージで使用するSTBには、コンテンツの配信方法によっていくつかの種類があります。運用規模や更新頻度、セキュリティ要件によって適した方式は異なるため、それぞれの特徴を理解した上で選びましょう。
クラウド型
クラウド型は、インターネット経由でクラウド上のCMS(コンテンツ管理システム)を利用し、STBやサイネージ端末へコンテンツを配信する方式です。
管理画面からコンテンツの登録や配信設定を行えるため、複数台のサイネージを管理する場合に向いています。一方で、クラウド利用料や端末ごとの利用料が発生する場合があるため、導入前に月額費用や契約条件を把握しておきましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社サーバや専用システムを利用し、社内ネットワークを通じてコンテンツを配信する方式です。
構成によっては、インターネットに接続しない閉域環境で運用できるため、外部からの不正アクセスリスクを抑えやすい点が特徴です。機密性の高い情報を扱う企業や医療機関、公共施設など、セキュリティ要件を重視する場合に適した配信方式です。
スタンドアロン型
スタンドアロン型は、USBメモリやSDカードなどの記憶媒体をSTBやディスプレイへ直接接続し、コンテンツを再生する方式です。
ネットワーク環境を構築する必要がないため、導入コストや月額費用を抑えやすく、小規模な店舗や施設でも導入しやすい点がメリットです。また、ローカルで再生するため、通信障害やインターネット回線の状況に左右されにくい特徴があります。
ただし、更新のたびに現地での作業が必要になり、設置台数が多い場合は運用負担が大きくなる可能性があります。
【関連記事:デジタルサイネージ運用の必須知識!よくある課題や解消法も解説】
STBを選ぶポイント

STBは製品ごとに機能や性能、運用方法が大きく異なります。価格だけで選んでしまうと、「更新作業が想像以上に大変だった」「表示したいコンテンツに対応していなかった」といったトラブルにつながることもあります。
導入後に後悔しないために、更新頻度や運用体制、表示コンテンツ、設置環境などを踏まえて、自社に合った製品を選びましょう。
更新頻度と運用体制に合っているか
導入前に、コンテンツの更新頻度と担当者の体制を整理しておきましょう。会社案内や施設案内など、内容がほとんど変わらない用途であれば、現地でデータを差し替える方式でも対応できる場合があります。
一方で、セール情報やメニュー変更などを頻繁に発信する場合は、遠隔更新に対応した方式を選ぶことで、現地作業を減らしやすくなります。
また、コンテンツ制作、配信設定、最終確認を誰が担当するのかも重要です。導入前に作業の流れを決めておくことで、更新漏れや表示ミスを防ぎやすくなります。
搭載OSや対応システムが用途に合っているか
STBにはAndroid、Windows、専用OSなどを搭載した製品があり、利用できるアプリや対応システムは機種によって異なります。OSの種類だけで判断せず、利用予定のCMSや管理方法と組み合わせて選ぶことが大切です。
特に、CMSとの連携可否、管理画面の使いやすさ、複数台管理のしやすさ、メーカーの保守対応は比較しておきたいポイントです。長期間使う場合は、機能だけでなく管理のしやすさも含めて検討しましょう。
表示したいコンテンツに対応しているか
STBやCMSによって、扱えるコンテンツの種類や表示方法は異なります。動画や静止画だけでなく、テロップ表示、Webページ、音声付きコンテンツ、PowerPoint資料を変換したデータ、タッチパネル向けコンテンツなど、必要な表示形式を事前に洗い出しておきましょう。
現在使用している販促物を流用できるかも見ておきたいポイントです。既存のチラシデータやSNS投稿画像、店舗メニュー、院内掲示物などを活用できれば、新たに作成するコンテンツを減らせます。ただし、画面比率や解像度、ファイル形式、文字サイズによっては、サイネージ向けに調整が必要になる場合があります。
性能・耐久性が用途に合っているか
設置場所や利用環境に適した性能を備えているかを見極めることが重要です。特に大型ディスプレイを使用する場合は、STBとディスプレイの双方が4K出力・表示に対応しているかを把握しておく必要があります。4K対応モデルを選ぶことで、細かな文字や高精細な映像を表示しやすくなります。
また、動画コンテンツを中心に扱う場合は、CPUやメモリ(RAM)に加え、対応する動画形式、コーデック、解像度、フレームレート、ビットレートも比較材料になります。再生仕様がコンテンツに合っていないと、映像が途切れたり、動作が不安定になったりする可能性があります。
さらに、動画データを端末内や記憶媒体に保存して使う場合は、ストレージ容量も確認対象です。動画データは容量が大きくなりやすいため、必要な保存領域を見込んでおく必要があります。長時間の連続稼働を前提とする場合は、耐久性やメーカーの品質実績、保守対応も比較材料に含めるとよいでしょう。
【関連記事:LEDと液晶、どちらが最適?用途で選ぶデジタルサイネージの表示方式】
費用とサポート体制が明確か
STBを導入する際は、本体価格だけでなく、関連費用を含めて総合的に比較することが大切です。一般的なSTBの価格はおおよそ3万円~25万円程度ですが、クラウド利用料や設置工事費、コンテンツ制作費、保守費用などが別途発生する場合があります。
ディスプレイや設置工事まで含めると、構成によっては初期費用が数十万円から100万円を超えるケースもあります。そのため、単純な導入コストだけで判断せず、更新作業の効率化や複数店舗管理による業務削減効果も踏まえて検討することが重要です。
また、初期設定の支援や操作説明、トラブル発生時のサポート体制も事前に把握しておきましょう。特に社内に専門知識を持つ担当者がいない場合は、導入後の支援内容が明確なサービスを選ぶことで、長期的に管理しやすくなります。
STB以外に必要なもの

デジタルサイネージを運用するには、STBの他に、映像を表示するディスプレイ、コンテンツを管理・配信するCMS、実際に流す動画や画像などのデータが必要になります。設置方式によっては、通信環境や接続ケーブル、記録メディア、設置金具も用意します。
表示機器(ディスプレイ)
STBで再生したコンテンツを映し出すためには、表示機器となるディスプレイが必要です。屋内では視認距離や設置スペース、屋外では高輝度性能や防水・防塵性能など、設置環境に合った仕様を選ぶことが重要です。
配信システム(CMS)
CMS(コンテンツ管理システム)は、サイネージに表示するコンテンツの管理や配信を行うためのシステムです。再生順序や表示スケジュールを設定したり、複数のサイネージへ配信したりする役割を担います。
クラウド型CMSを利用する場合は、月額利用料や端末ごとの費用が発生することもあるため、初期費用と合わせてランニングコストも見ておく必要があります。
コンテンツ
デジタルサイネージには、実際に表示するコンテンツデータが必要です。社内で制作する場合も、画面サイズや表示時間、文字の読みやすさに合わせて調整しましょう。
ブランドイメージを重視した広告映像や販促動画を作る場合は、専門の制作会社に依頼する方法もあります。
【関連記事:デジタルサイネージのデザイン入門!コンテンツに応じた制作のコツ】
設置・接続に必要な周辺機器
設置方式や配信方法によっては、LAN回線やWi-Fiなどの通信環境、HDMIケーブルなどの接続ケーブル、USBメモリやSDカードといった記録メディアが必要になります。
壁掛け設置や天つり設置を行う場合は、ディスプレイのサイズや重量に合った設置金具も必要です。電源の確保や配線処理、メンテナンス時の作業スペースも、安定した運用に関わる要素です。
デジタルサイネージやSTBに関するQ&A

デジタルサイネージの導入を検討していると、「PCで代用できるのでは」「後から増設できるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、STBやデジタルサイネージについてよくある質問とその回答を紹介します。
ノートPCやタブレットはデジタルサイネージの代わりになる?
ノートPCやタブレットを利用して、デジタルサイネージのように映像や画像を表示することは可能です。小規模な店舗や短期間のイベントであれば、代替手段として活用できる場合もあります。
ただし、長時間の連続稼働や複数台管理、遠隔更新を前提にする場合は、発熱、バッテリー劣化、システム更新による停止などに注意が必要です。常設運用では、サイネージ用STBや業務用ディスプレイを利用するほうが管理しやすくなります。
STBは後から追加できる?
多くのデジタルサイネージシステムでは、運用状況に応じてSTBを後から追加できます。そのため、まずは1台で試験的に導入し、効果を確認した上で設置台数を増やしていく方法も可能です。
ただし、追加方法や管理方法は利用するCMSやSTBの仕様によって異なります。将来的に複数店舗や複数拠点への展開を考えている場合は、導入前の段階で拡張性や増設時の費用について確認しておきましょう。
デジタルサイネージを安く導入するには?
デジタルサイネージの導入費用を抑えたい場合は、SoC型を選ぶ、小型ディスプレイを選ぶ、スタンドアロン型で始める、リースやレンタルを利用するなどの方法があります。
リース契約を利用すれば、購入に比べて初期費用を抑えやすく、月額費用として平準化できる点がメリットです。一方で、契約期間中の総支払額は購入を上回る場合もあります。
導入規模や利用期間、更新頻度を踏まえながら、購入・リース・レンタルのどれが適しているかを比較することが大切です。
【関連記事:デジタルサイネージはレンタル・購入どちらが有利?運用メリット比較】
デジタルサイネージの導入・運用は「イッツコム」にご相談を!

イッツコムでは、遠隔更新に対応したクラウド型デジタルサイネージをはじめ、用途に応じたカスタム型サイネージも提供しています。渋谷ヒカリエのアーバンコアリングや、武蔵小杉東急スクエアのインタラクティブサイネージなど、商業施設・公共空間での導入実績もあります。
月額3,480円(税別)/5GBから利用できるプランに加え、必要に応じた容量追加にも対応しています。導入から運用までまとめて相談できるため、初めてデジタルサイネージを導入する企業様もご相談ください。
まとめ

STBは、デジタルサイネージで動画や画像などのコンテンツを表示するための機器です。対応する機能や配信方式は製品によって異なるため、更新頻度、表示したいコンテンツ、設置環境、運用体制に合わせて選ぶ必要があります。
また、STBだけでなく、ディスプレイ、CMS、通信環境、コンテンツ制作、保守体制まで含めて検討することが大切です。導入後の管理まで見据えて選ぶことで、店舗や施設に合ったサイネージ運用を実現しやすくなります。
イッツコムでは、クラウド型デジタルサイネージを中心に、用途に応じたカスタム型サイネージにも対応しています。導入や運用に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。