ファイルサーバのクラウド化を徹底解説!メリットやサービスの選び方
目次
オンプレミス環境のファイルサーバは運用コストやアクセスのしやすさなどに課題があり、多くの企業がクラウド化に取り組んでいます。ファイルサーバのクラウド化について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。
PaaS・IaaSのファイルストレージサービスと、SaaSのクラウドストレージでは運用の難易度やコストに大きな違いがあり、クラウドストレージの機能や使いやすさはサービスによってさまざまです。
そこでこの記事では、ファイルサーバのクラウド化に利用するサービスの選択肢や比較ポイントについて紹介します。
ファイルサーバのクラウド化とは?
ファイルの保管や共有はビジネスの基盤です。社内で運用するファイルサーバをクラウド化することで、テレワークなど柔軟な働き方に対応しやすくなり、コスト削減や業務効率化にも役立ちます。社内システムのクラウド化に取り組むとき、まず考えたいのはファイルサーバのクラウド移行です。
ファイルサーバのクラウド化で得られるさまざまなメリット
ファイルサーバのクラウド化とは、オンプレミス(自社運用)のWindowsファイルサーバやNASから、クラウドベンダーが提供するファイルストレージサービスへ移行することです。
Boxなどの法人向けクラウドストレージ(オンラインストレージ)には、オンプレミスのファイルサーバに比べて導入・運用コストの低さやアクセスの容易さなどさまざまなメリットがあり、多くの企業がクラウド移行に取り組んでいます。
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テレワークの浸透などを背景にファイルサーバのクラウド化は一般化
総務省が公開する統計情報によると、クラウドサービスを利用する企業は年々増加しており、2022年には72.2%の企業が何らかのクラウドサービスを利用しています。最も多いのは「ファイル保管・データ共有(64.1%)」に関するクラウドサービスです。
コロナ禍の影響によるテレワークの浸透やオフィス形態の多様化などを背景に、ファイルサーバのクラウド化に取り組む企業が一般化していると考えられるでしょう。
(参考: 『令和5年版 情報通信白書|総務省』)
ファイルサーバのクラウド化に利用するサービスの選択肢
クラウド型ファイルサーバの主な選択肢は、PaaSやIaaSの形態で提供されるファイルストレージサービスと、SaaSの形態で提供されるクラウドストレージです。いずれもインターネット経由で利用できますが、PaaS・IaaSとSaaSとでは提供されるリソースが根本的に異なり、運用の難易度やコストが大きく変わります。
クラウドサーバ(PaaSやIaaS)
ファイルサーバをクラウド化する選択肢の1つは、Azureや AWSなどのクラウドベンダー(クラウドサービス事業者)が提供するPaaSやIaaSを利用し、ファイルサーバを構築することです。
・PaaS:ミドルウェアやOSなどのソフトウェア実行環境を提供
・IaaS:ストレージやCPUなどのハードウェア環境を提供
いずれもクラウドサーバと呼ばれるサービスの一種で、ファイルサーバのクラウド化に向いた複数のサービスが提供されています。AzureやAWSを直接契約する方法の他、AzureやAWSのファイルストレージサービスを外部のサービス事業者がカスタマイズして提供するものなど、さまざまな利用方法があります。
サービスによっては月額定額制ですが、基本的には利用するリソースや利用時間に応じた従量課金制です。セキュリティ面も含めてハードウェア・ソフトウェアの詳細なシステム設計ができるのは利点ですが、複数サービスの組み合わせには専門的な知識・スキルを要します。
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クラウドストレージ(SaaS)
ファイルサーバをクラウド化する方法として最もシンプルかつ利便性が高いのは、ストレージ機能に特化したクラウドストレージを利用することです。PaaSやIaaSは独自のファイルサーバを構築できるプラットフォームやITインフラを提供しますが、SaaSの一種であるクラウドストレージはパッケージ化されたシステム(ソフトウェア)をサービス提供します。
サービス事業者は独自のクラウドストレージサービスをソフトウェア・ハードウェア面で構築・管理しており、ユーザーはファイルサーバの構築を意識することなく、Webブラウザや専用アプリを通じてクラウド上のストレージを月額定額制で利用します。クラウドサーバのような構築の手間はかかりません。
中には「Box」のような、Windows Serverより詳細なアクセス権限を設定できたり、自社リソースでは構築・運用が難しい高度なセキュリティ基盤を備えたりするクラウドストレージサービスもあります。
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クラウド型ファイルサーバの比較ポイント
PaaSやIaaSは柔軟性が高い一方、運用コストを予測しにくく、「クラウド破産」の恐れがあります。PaaSやIaaSに習熟したクラウドエンジニアを確保できない場合、クラウドストレージ(SaaS)が現実的な選択肢です。
とはいえ、無料で利用できる個人向けクラウドストレージはビジネスユースには機能不足であるため、法人向けの有料サービスの中から、運用コスト・容量・機能などニーズに合うものを選ぶことをおすすめします。
料金体系と将来的な運用コスト
まずはサービスの料金体系に注意しましょう。PaaSやIaaSとして提供されるファイルサーバの多くは、利用するリソースや時間に応じた従量課金制を採用しています。運用コストの予測が難しく、初心者向きではありません。
多くのクラウドストレージ(SaaS)は、契約するプランやオプション・アドオンに応じた月額定額制を採用しており、組織のユーザー数(ライセンスID数)によって総額が変わります。定額制のため運用コストの予測はつきやすいものの、ビジネスの拡大に伴うユーザー数の増加や機能追加なども想定しましょう。
ストレージ容量の上限
ファイルサーバには日々ファイルが蓄積されるため、ストレージ容量の追加を考えずに済むサービスが理想です。しかし、容量無制限の定額制クラウドストレージは「Box」など一部のサービスに限られます。
従量課金のPaaSやIaaSはもちろん、SaaSのクラウドストレージでも契約内容により容量上限があり、大容量であるほど利用料金が高額になります。容量不足になると不要ファイルの選定や削除が必要で、運用コストも増大します。全てのファイルを長期保存できるサービスを選ぶのがおすすめです。
対応するWebブラウザやOS
柔軟な働き方の浸透により、ビジネスで使用するデバイスも多様化しています。ファイルサーバにPCだけでなくタブレットやスマホからアクセスできるかどうかも注意したいポイントです。
PaaSやIaaSはファイルストレージサービスによってアクセス経路が異なります。クラウドストレージ(SaaS)は、各ユーザーのデバイスからインターネット経由でダイレクトにアクセスするものが一般的です。
基本的なアクセス方法はWebブラウザから組織のアカウントにログインするものですが、アクセス用の専用アプリを提供するサービスもあり、対応するWebブラウザやOSはサービスによって異なります。PCだけでなくタブレットやスマホからもアクセスするなら、WindowsやmacOSの他にiOSやAndroidにも対応するサービスを選びましょう。
セキュリティ機能の充実度
PaaSやIaaSはファイルサーバの構築・運用の自由度が高い反面、セキュリティ対策の負担が大きくなります。各種セキュリティソリューションとの組み合わせを検討することが必須です。
クラウドストレージ(SaaS)は各種セキュリティ機能もパッケージ化されて提供されますが、サービスによってセキュリティ機能の充実度は異なります。以下のような機能に対応しているかどうかをしっかりチェックしましょう。
・保存・送信データの暗号化
・二要素認証やSSOなどセキュアなログイン制御
・フォルダやファイルに設定できるアクセス権限の詳細さ
・ファイルのバージョン管理ができる世代数
・監査できるログの種類は十分か
導入時・運用中のサポート内容
ファイルサーバをクラウド化するに当たっては、フォルダ構造の計画や導入時のファイル移行、アクセス権限の設定などが必要です。サービスによってどこまでの導入サポートを受けられるかは異なります。
運用中にはトラブルの発生も考えられますが、サポートの方法は電話・メール・遠隔操作・訪問などさまざまです。導入時や運用中のサポート内容もしっかりチェックしましょう。
Boxなど海外製のクラウドストレージに関しては、日本語サポートを受けられる国内代理店での契約が有利です。代理店選びの際はサポート内容にも目を向けましょう。
ファイルサーバをクラウド化する5つのメリット
ファイルサーバをクラウド化することで得られるメリットは多くあります。サーバの運用にかかるコストを削減できたり、サーバの管理業務を軽減できたり、システムの拡張が簡単にできたりするなどさまざまな負担を減らすことが可能です。こちらではファイルサーバをクラウド化するメリットについて解説します。
運用コスト・設置スペースの削減
社内でファイルサーバを構築する場合、設置場所が必要になります。安定稼働のためには、バックアップ用のHDDや無停電電源装置(UPS)などの用意も必要不可欠です。第三者認証においては個人情報を特定の場所に保管するため、サーバ室を用意して入退室を制限する必要があるでしょう。
サーバ室には部外者や権限のない人が入ることがないように、サーバラックを用意して固定し、転倒防止金具を取り付けて適切な温度や湿度を保ちながら施錠管理しなければなりません。ファイルサーバをクラウド化することで、サーバや関連設備が必要なくなり、維持のための光熱費も削減できます。
管理業務の軽減
情報システム部門などIT資産を管理する従業員の負担を軽減できることもメリットです。ファイルサーバを設置する場合には、情報セキュリティ指針を策定したりインターネット回線やルーターの選定をしたり、その設定や設置も行います。
またユーザーの管理やアクセス権の変更、フォルダ作成の他、バックアップやハードウェア、OS異常のモニタリングなどさまざまな作業が必要です。しかし、ファイルサーバのクラウド化によって、サーバ自体を管理する必要がなくなり、管理業務が楽になるメリットがあります。
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システム拡張やストレージ追加が容易
社内で構築したファイルサーバの容量が足りなくなった場合、サーバ本体やサーバラックなどを追加で購入する必要があります。ハードウェアを発注し、届いてから設置するとなると、ビジネスのワークフローに支障をきたす場合もあるでしょう。
クラウド化したファイルサーバは、契約プランや利用リソースの変更により、遠隔からスムーズにストレージ容量の増減や機能拡張ができます。事業の拡大などによりシステムの拡張やストレージの追加が必要な際は、クラウド化されたファイルサーバが適しているでしょう。
安心のセキュリティ
クラウド化されたファイルサーバは、各認証機関から承認されたデータセンターにて運用されています。データセンターには経営上の重要なデータが保管されており、詳しい設置場所は機密保持のため非公開とされるのが一般的です。「サービスを利用すること自体がセキュリティ対策になる」という点にも着目しましょう。
データの暗号化や二要素認証をはじめ、サービスによってはAIを活用した未知のマルウェア検知などにも対応しており、不正アクセスやランサムウェア感染といったサイバー攻撃のリスクも抑えられます。
テレワークでの情報アクセスが円滑に
オンプレミスのファイルサーバは基本的にLAN内での利用を想定しており、外部からのアクセスにはやや難があります。クラウド型のファイルサーバなら、コワーキングスペースや在宅勤務者の自宅からでも簡単にアクセスできるのは利点です。
特にクラウドストレージならファイルへの同時アクセスや共同編集にも対応しており、ファイルサーバよりオンラインコラボレーションに効果を発揮します。
ファイルサーバをクラウド化するデメリット
ファイルサーバをクラウド化することで多くのメリットを得られますが、インターネット環境がないと使えなかったり、カスタマイズできる範囲が限られていたりとデメリットもあります。どのような機能が必要かを明確にするのが大切です。こちらでは、ファイルサーバをクラウド化するデメリットを解説します。
インターネット回線がつながらないと使えない
クラウド型ファイルサーバを利用するには、インターネット回線が必要です。大容量のデータを安全に管理できるのがメリットですが、インターネット回線に障害が起こるとファイルにアクセスできないため、業務が滞る可能性があります。
大規模な災害や停電によってインターネットが使えなくなったり、機器の経年劣化によって調子が悪くなったりするなどのリスクに備えておきましょう。データ損失をしないように適切に対応することが大切です。
カスタマイズに限界がある
クラウド型ファイルサーバは社内で構築するサーバに比べると、利便性が低くなる場合があります。社内サーバは詳細なユーザー管理やアクセスログ管理なども可能ですが、クラウド化したファイルサーバはカスタマイズできる範囲が限られているため、自社に適したものを探す必要があります。
クラウド型ファイルサーバにはさまざまな種類があります。自社ではどのような機能が必要か、優先順位はどのようになるかを把握して選ぶようにしましょう。
クラウドストレージは容量無制限の「Box」がおすすめ
ファイルサーバのクラウド化はクラウドストレージの導入によりスムーズに実現できます。ただしストレージ容量の制限やセキュリティ機能の充実度などには注意が必要です。
各国の政府機関も採用するコンテンツクラウド「Box」なら、容量無制限のストレージであらゆるファイルを安全に一元管理できます。
7段階のアクセス権限設定や50世代以上のバージョン管理機能などにより、安全かつ効率的なファイル管理が可能です。二要素認証やSSOにより部外者による不正アクセスを防止しつつ、パートナー企業や取引先との安全なファイル共有も叶えます。
Box上でファイル編集やタスク・プロジェクト管理も完結できる他、1,500以上の業務アプリとの連携や電子サイン・ワークフロー自動化にも対応し、全社的な業務効率化に役立つことも魅力です。
まとめ
クラウド型ファイルサーバの主な選択肢は、PaaSやIaaSのファイルストレージサービスと、SaaSのクラウドストレージです。PaaSやIaaSは柔軟性が高いものの運用コストの予測は難しいため、低コストでクラウド化の恩恵を享受するならクラウドストレージをおすすめします。
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