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社内ネットワークが遅いのはなぜ?原因と調査方法、8つの改善策

ネットワークの不調は、業務効率を大きく下げるだけでなく、ストレスや生産性の低下にも直結します。原因は単純な回線の問題に限らず、社内機器の設定や利用状況、ウイルス感染など、複数の要素が絡み合っていることもあります。そのため、「何が原因なのか」「どう対処したらよいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、社内ネットワークが遅くなる原因を分かりやすく整理し、改善策を8つご紹介します。快適で安定したビジネス環境を実現するための参考として、ぜひ最後までご覧ください。

社内ネットワークが遅い?快適な速度の目安

社内ネットワークが快適に使えるかどうかは、業務の内容によって大きく異なります。テキスト中心の作業であれば比較的低速でも支障は少ない一方、Web会議や大容量ファイルのやりとりが多い場合には、それに応じた通信速度が求められます。以下は、主な業務用途ごとに推奨される通信速度のおおよその目安です。

  • メールやSNSのテキスト投稿:1〜3Mbps程度
  • 画像や動画の送信・視聴:3〜20Mbps程度
  • ファイル共有やクラウド上での業務:50〜100Mbps以上が望ましい
  • オンライン会議やライブ配信:上り1Mbps以上、下り10~30Mbps程度

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社内ネットワークの速度を調査する方法

社内ネットワークの遅さに悩んだ際は、まず現在の速度を把握してみましょう。「速度が遅い」という感覚だけではなく、客観的な数値を確認することで、問題点の特定と改善策の検討につながります。ここでは、社内ネットワークの速度を調査する代表的な方法を4つ紹介します。

1.速度計測サイト

最も手軽なのは、速度計測サイトを利用する方法です。Googleで「インターネット速度テスト」と検索すると、その場でGoogle独自のスピードテストを実行できます。そのほか、「Fast.com」や「Speedtest by Ookla」など、無料で使えるサービスも多数あります。

測定結果には「下り(ダウンロード)」「上り(アップロード)」「Ping(応答速度)」といった項目が表示され、ネットワークの状態を簡単に確認可能です。時間帯を変えて複数回測定することで、混雑による影響も把握しやすくなります。

2.pingコマンド

コマンドプロンプト(Windows)やターミナル(Mac)で利用できる「ping」コマンドも、有効な調査手段です。このコマンドは、指定した通信先(例:Googleのサーバ)との応答速度を測定するためのものです。

【使用方法】
・Windowsの場合:「cmd」からコマンドプロンプトを開き、「ping 通信先のIPアドレス」と入力(例:ping www.google.com)
・Macの場合:ターミナルを開いて同様に「ping 通信先のIPアドレス」と入力

返ってくる応答時間(ms)が短ければ通信は安定しており、100ms以上の数値が続く場合は、何らかの遅延が発生している可能性があります。

3.Tracert/Tracerouteコマンド

ネットワーク上のどこで遅延が発生しているかを詳しく調べたい場合は、「Tracert(Windows)」または「Traceroute(Mac)」コマンドの使用が有効です。これらのコマンドでは、アクセス先までの経路にある各中継地点(ルーターなど)を順にたどり、それぞれの応答速度を表示できます。

【使用方法】
・Windowsの場合:コマンドプロンプトで「tracert 宛先ホスト名またはIPアドレス」と入力(例:tracert www.google.com)
・Macの場合:ターミナルで「traceroute 宛先ホスト名またはIPアドレス」と入力

4.トラフィック監視ツール

社内ネットワーク全体の状況を把握したい場合には、トラフィック監視ツールの導入がおすすめです。これらのツールを使えば、社内ネットワークを通過する通信量やアクセス先をリアルタイムで可視化でき、異常なトラフィックやボトルネックの特定に役立ちます。

代表的なフリーツールとしては「GlassWire」「PRTG Network Monitor」「Squeezer」などがあり、パケット単位での通信内容や通信量、遅延の発生ポイントを詳細に解析可能です。例えば、特定の端末が過剰に帯域を使用しているケースや、外部からの攻撃が疑われる不審な通信の発見にもつながります。

社内ネットワークが遅い原因

ここからは、社内ネットワークが遅い原因について解説します。具体的にはネットワークケーブルの規格違いや、無線LANの電波干渉が起こっているなどです。そのほかにも、配線状況が複雑になっていたり、IPアドレスの不具合が起こっていたりする場合も考えられます。それぞれ詳しく解説するため、ぜひご覧ください。

ネットワークケーブルの規格違い

通信速度が出ない要因の1つに、ケーブルの規格が影響している場合があります。ネットワークケーブルの性能が低いと、本来もっと速く通信が出来る環境でも、その能力を発揮できません。

例えば、インターネット回線の最大通信速度が1Gbpsでも、ケーブルの規格が100Mbpsであれば、速度はその上限に制限されてしまいます。結果として、社内ネットワークが遅く感じられるのです。

こうした問題を避けるためには、インターネット回線とネットワークケーブルの規格に差がないかどうかを確認することが大切です。

無線LANの電波干渉

無線LANを利用している環境では、周囲の電波との干渉が通信品質を悪化させることがあります。電波干渉が起きると、ネットワークの速度が著しく低下してしまいます。

例えば、無線LANの近くに家電が置かれている場合、電子レンジなどが同じ周波数帯を使用していると、異なる電磁波が重なり通信に悪影響を与える可能性があります。その結果、ネットワークが遅くなることがあるのです。

このような状況が疑われる場合は、無線LAN機器の周囲に干渉源となる家電や電子機器がないかを確認してみましょう。

回線の集中(混雑)

多くの従業員が同時にネットワークを利用すると、特定の時間帯に通信トラフィックが集中し、ネットワークに負荷がかかります。特に始業直後や昼休み明け、終業間際などには、多くの従業員が一斉に業務を開始・再開し、Web会議やクラウドサービスへのアクセス、ファイルのダウンロードといった通信が集中します。

こうした時間帯には帯域が逼迫し、ネットワーク全体に遅延が生じることもあるでしょう。回線の集中を防ぐには、回線や接続方式の見直しを検討することが重要です。

配線状況の複雑さ

配線が過剰または不適切に行われていると、通信の効率に影響を及ぼすことがあります。

例えば、ルーターのハブ間に2本のLANケーブルを接続しているような場合、本来1本で済む箇所に余計なケーブルがあることで、信号の流れが乱れ、結果としてネットワークが遅くなる可能性があります。

ネットワークの遅さが気になる場合は、配線が適切かどうか一度見直してみるとよいでしょう。

IPアドレスの不具合

設定ミスによるIPアドレスの問題も、ネットワークの遅延を招く原因になります。ネットワーク自体に問題がなくても、IPアドレスの重複や誤設定があると、正常な通信が妨げられることがあります。

例えば、異なる2台のPCで同じIPアドレスが設定されていると、通信の識別が出来ずに接続が不安定になります。その結果、ネットが遅くなったと感じる場面が生じるのです。

こうした不具合を疑う場合は、IPアドレスの設定状況を確認してみましょう。

ウイルス・マルウェアの影響

ネットワーク速度が極端に遅い場合、ウイルスやマルウェア感染の可能性も否定できません。感染した端末が外部と大量の通信を繰り返していると、ネットワーク全体に負荷がかかってしまいます。

さらに、DDoS攻撃のように外部から社内のIPアドレスへ大量のリクエストが送信されている状況では、正規の通信が妨げられるおそれもあります。こうしたサイバー攻撃や異常通信は、セキュリティソフトやトラフィック監視ツールにより早期に検出し、適切に隔離・対処することが重要です。

社内ネットワークを改善するための8つの方法

ここからは、社内ネットワークを速くするための8つの方法について解説します。ネットワークケーブルを規格に合ったものに買い換えることや、無線LANの電波干渉を直したり、配線状況をシンプルにしたり、IPアドレスの不具合を正すなどがあります。

簡単にできるものも多いため、ネットワークが遅いと感じている方は、ぜひ試してみてください。

1.ネットワーク機器を再起動する

社内のルーターやハブ、PC、モバイル端末などは、長時間連続で稼働していると処理能力が低下し、通信エラーや遅延が起きやすくなります。これは、機器内部のキャッシュやバッファに古い情報がたまり続けることが一因です。

このような場合には、一度電源を切って再起動するだけで不要なデータがクリアされ、通信速度が改善することがあります。

2.ネットワークケーブルを規格のあったものに買い換える

社内ネットワークを速くするには、ネットワークケーブルを規格のあったものに買い換えることが重要です。適切なケーブルに替えてはじめて、契約している回線の本来の通信速度が発揮されます。

インターネットの契約時に回線の最大速度を確認する人は多い一方で、ケーブルについてはあまり注目されていません。通信が遅いと感じたときは、ケーブルの規格にも目を向けてみてください。

3.無線LANの電波干渉を直す

無線LANの電波干渉を見直すことも、ネットワークの改善に必要です。理由としては、電波干渉が起こると、ルーターのスペックにかかわらず、社内ネットワークの速度が遅くなるためです。

コピー機やほかのルーター、電子レンジや冷蔵庫なども考えられます。そのような電波干渉を起こしそうな電子機器がないか、今一度確認しましょう。

4.配線状況をシンプルにする

社内ネットワークを速くするために、複雑な配線状況をシンプルにしましょう。配線状況を改善することで、社内ネットワークが速くなる可能性があります。

・不自然につなげられている配線がないか
・余計な配線がつなげられていないか
など、社内ネットワークを遅くするような配線状況になっていないかを、きちんと確認しましょう。

なお、配線をつなぎ直す際は、現在進行形でつないでいる機器に影響が出る可能性があります。使っている人の状況を見て行うようにしましょう。

5.IPアドレスの不具合を正す

社内ネットワークを速くするために、IPアドレスの不具合を正しましょう。異なる2つの機器に同じIPアドレスが振り分けられていると、ルーターが機器を判別できず、本来の速度を出せません。

そのため、ネットにつないでいる機器のIPアドレスを調べ、同じIPアドレスを使っていないか調べてみましょう。そして、もし同じIPアドレスを使ってしまっている場合は、異なるものを取得し直すことをおすすめします。

6.ローカルブレイクアウトを活用する

ローカルブレイクアウトとは、社内のインターネットトラフィックを本社やデータセンターなどの経由地点を介さず、各拠点から直接インターネットへアクセスさせる仕組みのことです。

従来のネットワーク構成では、クラウドサービスへの通信もすべて本社を経由するため、トラフィックが集中しやすく、社内ネットワークのボトルネックになりがちでした。

ローカルブレイクアウトを活用すれば、トラフィックの分散が可能となり、通信遅延の解消や全体の効率化が期待できます。ただし、すべての通信が社内のセキュリティ制御を通らずに直接インターネットへ流れることになるため、セキュリティ面での対策は欠かせません。

7.ネットワーク機器や端末を買い替える

社内で使用しているルーター、スイッチ、無線LAN機器、PCなどが古い場合、それが通信遅延の原因となっている可能性もあります。特に無線LANルーターについては、最新のWi-Fi規格に対応しているかどうかが重要なポイントです。

さらに、古いPCではネットワークアダプターの性能が不足し、十分な通信速度が出ないケースも見られます。業務に支障が出ているようであれば、機器のリプレース(更新)を前向きに検討する必要があります。

8.回線プランを見直す

社内の業務量が増加しているにもかかわらず、数年前に契約したままのプランを使い続けていると、通信量が不足し、遅延の原因となることがあります。また、ベストエフォート型回線(最大速度保証なし)では、混雑時に極端に速度が落ちるケースも少なくありません。

法人向けの専用線や高品質な光回線へ切り替えることで、より安定した通信速度が得られる可能性があります。その際は、プロバイダーの見直しもあわせて検討するとよいでしょう。

【関連記事:プロバイダ乗り換えの手順・注意点・選び方や工事不要のケースを解説

ネットワーク回線を乗り換えるメリット

業務で利用するネットワーク回線を乗り換えることで、「通信速度の向上」だけでなく、コスト削減や利便性の向上といった副次的なメリットも期待できます。現在使用している回線が古かったり、契約内容が自社の現状に見合っていなかったりする場合には、快適な通信環境を構築するためにも乗り換えの検討が有効です。

以下では、ネットワーク回線を乗り換えるメリットについて解説します。

月額費用を抑えられる

ネットワーク回線の月額利用料は、事業者や契約プランによって大きく異なります。例えば、同じ光回線であっても通信速度やサービス内容に差があり、内容を見直すことで月額コストを削減できるケースがあります。

特に法人向けプランでは、従業員数やトラフィック量に応じた柔軟な料金体系が用意されているため、自社の利用実態に合ったプランに見直すことで、無駄な支出を抑えることが可能です。

支払いや問い合わせ窓口を一本化できる

プロバイダと回線事業者が別々の場合、契約管理やトラブル時の対応が煩雑になることも少なくありません。一方、プロバイダ一体型の回線に乗り換えれば、契約や請求、トラブル対応の窓口を一本化できます。

窓口を統一することで、通信障害が発生した際にも問い合わせ先に迷うことがなくなり、迅速な復旧対応が可能となります。また、請求書や支払い管理も一本化されることで経理処理が簡素化され、管理負担の軽減にもつながります。IT担当者の負担を減らしながら、全体の業務効率を高める効果も期待できます。

ネットワーク回線を乗り換える場合の注意点

ネットワーク回線の乗り換えには多くのメリットがありますが、注意しておくべき点もいくつか存在します。契約や工事、現在の利用環境に関する条件を事前に確認しておかないと、思わぬ費用やトラブルにつながるおそれがあります。以下に紹介する注意点をあらかじめ押さえておきましょう。

違約金の存在

現在契約している回線サービスには、「最低利用期間」や「更新月」などの契約条件が設定されていることが多く、これらの期間外に解約を申し出た場合には、違約金が発生することがあります。
また、回線の工事費を分割で支払っている場合には、乗り換えの際に残債を一括で清算しなければならないケースもあります。通信費を下げられても、初期費用が高額になるリスクがある点には注意が必要です。

回線工事の有無

新たな回線に乗り換える際、多くのケースで工事が必要となります。たとえ同じ「光回線」間での乗り換えであっても、設備の方式や配線状況によっては工事が発生することも少なくありません。

特に集合住宅やビルでは、建物の回線設備が特定の事業者に限定されている場合があり、希望する回線が導入できないこともあります。さらに、オフィスのレイアウト変更や配線の再設計が求められる場合もあるため、導入前に現地調査を依頼しておくと安心です。

【関連記事:光回線の乗り換え工事は必要?法人名義で新規契約するときの手順やポイント

サービス連携の見直し

現在利用しているプロバイダと連携している各種サービスも、乗り換えによって利用できなくなる可能性があります。例えば、プロバイダが提供するメールアドレス、セキュリティソフト、動画配信サービス、オンラインストレージ、ホームページ作成サービスなどは、契約終了と同時に使用不可になる場合がほとんどです。

これらのサービスを業務に組み込んで利用している場合は、代替手段の準備やデータの移行対応が必要です。乗り換え前に現在使用中の付帯サービスを全て洗い出し、必要なものが新しいプロバイダでも継続可能かを確認しておきましょう。

支払い方法・請求タイミングの確認

新旧の回線サービスが重複して稼働する「移行期間」が発生する場合、その期間は二重に請求されることがあります。また、旧回線の工事費用を分割払いしている場合、乗り換え時に残額を一括で支払う必要があり、請求額が一時的に高額になる可能性があります。

企業としてのキャッシュフローにも影響するため、乗り換えの際は会計担当とも連携して進めるとよいでしょう。

社内ネットワークが遅いとお悩みの場合は「イッツコム」のサービスがおすすめ!

社内のインターネットを速くするための方法はいくつか存在しますが、やはりネットが遅いと感じたら、回線の乗り換えをすることがおすすめです。イッツコムでは、インターネットを素早く快適に利用できるサービスを多数ご用意しております。ここからは具体的に、イッツコムが取り扱うサービスをご紹介します。

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サービスのプランは「2ギガコース」「1ギガコース」「300メガコース」の3種類です。お求めの回線速度から契約するコースを選べますので、予算に合わせてプランを選ぶことが可能です。また、契約の縛り期間もありません。

セキュリティ面の不安を解消するなら「モバイル閉域接続」

イッツコムでは、モバイル閉域接続というサービスを展開しております。モバイル閉域接続とは、通常のインターネットを通さずに、社内のリソースにアクセスできるものです。

通常であれば、社内LANや社内情報にアクセスする際は、インターネットを通じてアクセスすることでしょう。しかし、公共のインターネットを通じて社内情報にアクセスするとなると、第三者から傍受される可能性などが出てきてしまい、セキュリティ面で大きな不安が残ります。

イッツコムが提供するモバイル閉域接続を使えば、セキュリティ面での不安を解消できます。インターネットを使わずに、社内LANや社内情報にアクセスするシステムを構築するため、傍受される心配がなくなるからです。

まとめ

社内ネットワークの速度低下には、機器の老朽化やトラフィックの集中、セキュリティ上のトラブルなど、さまざまな原因が潜んでいます。適切な調査と対策を講じれば、快適な通信環境を取り戻すことは十分に可能です。

また、現在の回線やプロバイダーが自社の現状に合っていないと感じる場合は、思い切って乗り換えを検討することも大切です。イッツコムの「光接続サービス」は、下り最大2Gbps/上り1Gbpsの高速通信に加え、VPNや遠隔アクセス環境の構築にも対応しています。高速かつ安定したインターネット環境を整えたい場合は、ぜひご利用ください。