1. コラム
  2. コラム
  3. LEDと液晶、どちらが最適?用途で選ぶデジタルサイネージの表示方式

LEDと液晶、どちらが最適?用途で選ぶデジタルサイネージの表示方式

デジタルサイネージの表示方式には、LEDビジョンと液晶ディスプレイの2種類が代表的です。どちらも情報発信ツールとして広く活用されていますが、表示の仕組みや性能、適した設置環境には明確な違いがあります。

本記事では、両方式の特性やコスト、運用面のポイントを整理し、目的に応じた選び方をわかりやすく解説します。さらに、実績豊富なイッツコムのクラウド型サイネージサービスについても紹介します。店舗や施設での情報発信を強化したい方は、導入前の検討材料としてぜひご覧ください。

LEDビジョンと液晶ディスプレイの基本的な違い

LEDビジョンと液晶ディスプレイは、どちらもデジタルサイネージの表示方式として広く使われていますが、構造や映像の見え方、適した設置環境に明確な違いがあります。導入の際は、単にスペックを比較するのではなく、目的や場所に応じた特性の理解が不可欠です。

ここでは、それぞれの仕組みや視認性、耐久性の違いを整理し、最適な選択を行うための視点を解説します。

それぞれの仕組みと技術的特徴

LEDビジョンは、赤・緑・青の発光ダイオード(LED)を並べて構成されたディスプレイです。画素自体が発光する「自発光方式」のため、外光の影響を受けにくく、高輝度での表示に適しています。複数のユニットをタイル状に組み合わせる設計が基本で、大型表示にも柔軟に対応できます。

一方、液晶ディスプレイは、バックライトの光を液晶パネルで制御して映像を表示します。構造上、黒の表現にやや制約がありますが、高精細で安定した色再現が特長です。

表示の鮮明さはピクセルピッチ(画素間の距離)に左右され、LEDではピッチが細かいほど高精細になります。ただし、ピッチが小さいモデルは製造コストが高くなるため、視認距離や設置環境に応じた選定が求められます。

視認性・輝度・表示品質の比較

LEDビジョンは非常に高輝度な表示が可能で、屋外や強い日差しの下でも視認性を確保できます。6,000cd/m²以上の高輝度モデルもあり、遠距離からの視認にも優れています。広い視野角を持ち、多方向からの確認にも適しています。

液晶ディスプレイは一般的に350〜700cd/m²程度の輝度で、屋内利用に最適です。細かい文字や静止画をクリアに表示できるため、近距離での情報案内や商品紹介に向いています。ただし、直射日光下では視認性が低下する場合があります。

輝度の目安としては、店内使用で400〜700cd/m²、日差しが差し込む屋内では700〜1,200cd/m²、屋外設置では1,200cd/m²以上が推奨されます。

耐久性と設置環境による選び方

屋外用のLEDビジョンには、防水・防塵性能(IP65相当など)を備えた製品が多く、天候や外気の影響を受けにくい構造です。さらに、発熱にも強く、直射日光下でもブラックアウトを起こしにくいという特長があります。

液晶ディスプレイは、高温や直射日光など過酷な環境にはやや不向きです。長時間の直射日光によって内部温度が上昇し、表示不良のリスクがあるため、屋内中心での使用が基本です。

いずれの方式も、設置場所に応じてピクセルピッチや筐体構造を適切に選ぶことで、表示品質とコストのバランスを最適化できます。自社の課題に合った方式を見極めるには、専門業者のアドバイスを得ながら進めるのが確実です。

表示方式ごとの特徴と選定ポイント

LEDビジョンと液晶ディスプレイ型のサイネージは、設置環境や表示目的に応じてそれぞれ強みを持っています。ここでは、代表的な使用シーンや求められる機能を踏まえながら、表示方式の選び方を整理します。

屋外や大型表示に強いLEDビジョン

LEDビジョンは、直射日光下でも視認性を保てる高輝度が特長で、屋外広告やイベントスペースに最適です。タイル状に組み合わせて自由な形状・サイズに対応できる他、防水・防塵仕様で耐候性にも優れています。ベゼルの目立たない構造により、シームレスな大画面表示が可能です。

また、動きのある映像も滑らかに再生できる高リフレッシュレートに対応しており、映像演出を重視する場面にも適しています。ただし、広い面積で高輝度を保つ場合は電力消費が大きくなり、排熱や電源設計への配慮が求められます。

屋内案内や高精細表示に向いた液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイ型のデジタルサイネージは、高解像度かつ安定した色表現が特長で、近距離での案内表示や商品説明などに適しています。初期費用や設置のしやすさ、柔軟な筐体バリエーションといった点でも導入のハードルが低く、店舗やオフィス、公共施設などで広く活用されています。

一方で、屋外や日差しの強い場所では視認性が低下することがあり、設置環境によっては遮光や冷却といった対策が必要になることもあります。また、複数台を組み合わせた大型表示ではベゼルの存在が課題となり、シームレス表示には不向きです。

設置目的に応じたスペック選定の考え

サイネージの効果を最大限に引き出すには、設置場所や用途に応じた機能・性能の見極めが欠かせません。

例えばタッチパネル型の案内板として活用する場合は、1,500〜2,500cd/m²程度の高輝度が必要です。施設の入り口や明るいロビーなどでは、40インチ以上のディスプレイで十分な視認性と操作性を確保できます。

商業施設の吹き抜けや壁面などに表示する場合は、32~86インチまでの幅広いサイズ選定が可能です。防塵・防水構造や温度管理機能の有無も、安定稼働を支える重要な要素となります。

屋外の広告用では、5,000cd/m²以上の超高輝度モデルと120インチ以上の大画面が一般的で、昼夜を問わず高い訴求力を発揮します。こうした用途では、輝度の自動調整やリモート制御への対応状況も確認ポイントになります。

機器選定と並行して検討すべき管理体制

どの表示方式を選ぶにしても、サイネージの運用には定期的なコンテンツ更新や稼働管理が伴います。導入後に効率よく活用するためには、複数拠点を一括で管理できるシステムや、現場の担当者でも扱いやすい操作性なども重視すべき要素です。

クラウド型CMSを利用すれば、設置場所を問わずコンテンツ配信の自動化やスケジュール管理が可能になり、運用負担の軽減や情報の即時反映といった効果も期待できます。

このように、サイネージの効果は機器スペックだけでなく、「誰が・どこで・どう使うか」まで含めた設計によって大きく変わるという点も念頭に置いておきましょう。

導入前に把握しておきたいコストと運用負担

デジタルサイネージの導入に際しては、機器の本体価格だけでなく、設置工事費・電気代・保守費用といった継続的なコストも含めた総合的な費用設計が必要です。

ここでは、LEDビジョンと液晶ディスプレイ型の代表的な価格帯や、運用時に発生するランニングコスト、費用対効果を高めるポイントについて解説します。

LEDビジョン:仕様と設置条件に応じて価格が大きく変動

LEDビジョンの価格は、ピクセルピッチ(LED素子間の距離)や画面サイズ、屋内外の設置環境によって大きく異なります。ピッチが細かいほど高精細な表示が可能になりますが、LED素子の数が増えるため、コストも比例して上昇します。

特に屋外用のLEDビジョンでは、防水・耐候性・高輝度といった要素が加わるため、屋内用と比べて高価格帯になる傾向があります。

さらに、導入時には機器本体以外に次のような工事費が発生します。

  • 支持材や取付金具の設置費
  • 足場・安全設備の仮設工事費
  • 電気・通信回線の配線工事費

屋外の壁面や屋上への設置ではこれらの工事が大規模になりやすいため、初期費用は数百万円規模になるケースも珍しくありません。一方、屋内向けのスタンド型や可搬型であれば、設置コストは比較的抑えられます。

液晶ディスプレイ型:導入ハードルは低め、活用次第で費用対効果も高い

液晶ディスプレイ型のデジタルサイネージは、比較的リーズナブルな価格帯から導入が可能です。32インチで7万円前後、55インチでは30万円前後からが目安となります(機能や用途によって異なる)。

この他、設置方法(スタンド設置、壁掛け、埋め込み)に応じた金具や工事費、必要に応じて保守契約料なども必要です。

最大の利点は、紙媒体と比較して表示内容の更新が柔軟かつスピーディに行える点です。印刷や配布の手間が不要なため、以下のような効果が期待できます。

  • 張り替え作業の省力化
  • 印刷・配送費の削減
  • タイムリーなプロモーション対応

複数店舗や拠点での展開を視野に入れている場合には、年間数十万〜数百万円規模のコスト削減につながることもあります。さらに、CMSやセンサーと連携することで、時間帯や来訪者層に応じたコンテンツ出し分けが可能になり、マーケティング効果の最大化にも貢献します。

長期運用を見据えた維持費と運用負担

導入後に継続的にかかるランニングコストとしては、以下の要素が挙げられます。

  • 電気代:50インチの液晶ディスプレイで月700〜800円前後、同等サイズのLEDは約1,700円と約2倍程度になるケースもあります。
  • 保守・点検費:屋外設置や大型ディスプレイの場合、月5,000〜20,000円の保守契約が推奨されます。
  • 通信費・CMS利用料:CMSを活用した場合、回線使用料とあわせて月額1〜2万円前後が目安です。

この他、トラブル発生時の対応や定期的なコンテンツ更新の負担を考慮すると、操作性の高いCMSの導入と、運用まで一括してサポートできる体制の有無が、維持費以上に大きな分かれ目になることもあります。

初期費用を抑える手段として、リースや割賦購入も選択肢に含まれます。特にリース契約には保守や保証が含まれているケースが多く、予期せぬ出費を平準化しやすいメリットがあります。

【関連記事:デジタルサイネージの価格相場はいくら?導入や運用にかかる費用

LEDサイネージ導入に向けた選定と注意点

LEDサイネージの効果を最大限に発揮するには、導入する機器そのものだけでなく、事前の計画や選定プロセスが非常に重要です。設置環境や利用目的に合わないスペックを選ぶと、思わぬコスト増や運用トラブルにつながる可能性があります。

ここでは、導入前に検討しておくべき要素として、目的の整理、仕様の選び方、法規制、業者選定のポイントを紹介します。

ニーズの明確化と費用計画

まずは「どこに、何の目的で、どのような情報を発信したいのか」を明確にしましょう。利用場所や配信内容によって、必要なサイズや明るさ、設置形態が異なるため、目的の整理がその後の選定すべての基盤になります。

あわせて、以下のような費用を事前に洗い出しておくと安心です。

  • 初期費用(機器代、取付工事、電源・通信工事など)
  • 運用費用(通信費、CMS利用料、コンテンツ更新コストなど)
  • 保守・点検費用(定期点検や部品交換の想定)

現時点で使う予定のない機能まで搭載してしまうと、初期費用が不要に膨らむリスクがあるため、「目的に必要な機能」に絞ることがコスト効率のカギになります。

視認距離に応じた仕様選定

LEDサイネージでは、表示サイズとピクセルピッチ(LEDの密度)のバランスがとても重要です。特に「どの距離から見るのか」によって、最適なピッチが変わります。

一般的には、視認距離(m)÷1.16=適正ピッチ(mm)という目安があります。例えば、3mの距離で見る場合、2.6mm程度のピッチが適しています。近距離なら高精細なピッチが求められますが、遠距離用途ではピッチが多少荒くても十分見やすく、コストを抑えられます。

また、コンテンツの情報量や表示する文字サイズによっては、ある程度の画面サイズも必要です。導線上の視認性、視角、スペース制約なども加味して、実際の現場に即したスペック選定を行いましょう。

設置場所の法規制と許可申請

特に屋外に設置する場合は、各自治体が定める「屋外広告物条例」や景観保護のルールに注意が必要です。高さやサイズ、表示明度、音声の有無などに細かな制限があり、無許可で設置すると違反対象となる可能性があります。

例として東京都では、商業地域であっても突出制限や照度の上限が定められており、銀座や丸の内などの地域ではさらに厳しい基準が設けられています。

申請には、設置図面や環境配慮の説明、近隣の影響評価といった書類提出が必要になる場合があります。大型の機器を設置する際は、電気工事士による施工や、電力供給に関する申請も並行して進めなければなりません。

事前に自治体の担当窓口へ相談し、必要な手続きを確認しておくことが、スムーズな導入への第一歩です。

信頼できる業者の選び方

LEDサイネージは、導入後のトラブル対応や継続的なコンテンツ運用も重要となるため、「機器販売」だけでなく「導入後の運用支援」まで対応できる業者を選ぶことが安心です。

選定時には、以下の点を確認しましょう。

  • 類似事例の導入実績があるか
  • 設計・施工・運用まで一括で対応できるか
  • トラブル時のサポート体制が整っているか(問い合わせチャネル、対応時間など)
  • 見積書に費用内訳が明示されているか(後出し請求を防ぐため)

複数社から見積もりを取得し、単価だけでなく、どこまで含まれているかを比較することが、予期せぬ追加コストの抑止にもつながります。

長期運用を見据えたメンテナンスと管理体制の整備

LEDサイネージの導入はゴールではなく、長期的に安定した運用を続けることで、その効果を最大限に引き出すことができます。特に、耐用年数を延ばすためのメンテナンス、効率的なコンテンツ更新体制、省エネへの配慮は重要な検討要素です。

ここでは、長く安心して使い続けるために必要な運用管理のポイントを紹介します。

耐用年数を左右する点検と環境整検

LEDビジョンは、一般的に約5万時間(1日8時間稼働で約17年)という高い耐用年数が期待できます。ただし、この性能を最大限に活かすには、設置後のメンテナンスが欠かせません。

屋外設置の場合は、ホコリや排ガス、風雨による汚れがたまりやすく、放熱性や画面の視認性が低下するおそれがあります。定期的に表面を清掃し、視認性を維持することが重要です。

また、電源ユニットや接続部などの内部部品は、劣化が進むとトラブルの原因になります。年に1〜2回は専門業者による点検を受け、故障を未然に防ぎましょう。

さらに、極端な温度変化はLEDの寿命に影響を及ぼすため、設置環境によっては冷却ファンやヒーターを設置するなどの温度管理も検討すべきです。

安定した運用のためには、あらかじめ保守契約を結び、緊急対応や定期点検をスムーズに行える体制を整えておくことが理想的です。

CMS導入によるコンテンツ運用の効率化

LEDサイネージの価値を高めるには、「表示する内容」を継続的に更新し、訴求力を維持することが欠かせません。そこで役立つのが、CMS(コンテンツ管理システム)の導入です。

CMSを活用すれば、複数のディスプレイに対して遠隔から一括で配信内容を変更したり、曜日・時間帯に応じた自動更新を行ったりと、効率的な運用が可能になります。施設や店舗ごとに異なるコンテンツを柔軟に出し分けることもでき、マーケティング施策との連動もしやすくなります。

導入時は、スケジュール配信や端末ごとの個別設定、UIの使いやすさなど、実務に即した機能の有無を確認することが重要です。また、CMSを誰が・どのように運用するかといった社内体制の設計も合わせて検討しましょう。

トラブル対応のスピードや、電話・チャットなどのサポート体制も、安心して長期運用するための選定ポイントになります。

【関連記事:デジタルサイネージにCMSを導入するメリット!今後必要になる?

消費電力と環境対応のバランス

LEDサイネージは、高輝度表示が可能である一方、消費電力への配慮も必要です。とはいえ、近年は省エネ性能に優れたモデルも多く登場しています。

例えば、省エネ設計の32インチモデル(消費電力約100W)を1日12時間使用した場合、月の電気代はおよそ1,000円程度。高輝度・大型モデルでも、最新の電源制御機能を活用すれば、運用時の電力消費は最適化できます。

LED素子は長寿命で交換頻度が低いため、廃棄物の発生も少なく、資源の節約や環境負荷の軽減にもつながります。また、-10℃〜40℃といった広い動作温度に対応するモデルもあり、空調への依存を最小限に抑えた省エネルギー運用も可能です。

単に「映す」だけでなく、環境配慮型の運用を意識した機器選定と運用管理が、企業としての持続可能性の観点からも求められています。

【関連記事:店頭デジタルサイネージの導入効果と活用案、選び方のポイントを解説

デジタルサイネージならイッツコム!

デジタルサイネージには、個別に運用するスタンドアロン型と、インターネット経由で複数拠点をまとめて管理できるネットワーク型があります。特に、複数の店舗や施設を一元管理したい企業には、後者のネットワーク型が適しています。

イッツコムが提供するクラウド型デジタルサイネージは、Webブラウザからの簡単な操作で、画像や動画などのコンテンツをリアルタイムに更新できるのが大きな特長です。SNS感覚で配信できるインターフェースにより、専門知識がなくても直感的に運用できます。

また、全拠点のサイネージを一括管理できるため、少人数での運用にも対応可能。業務効率とコストパフォーマンスの両立が図れるため、多店舗展開の企業にとっては大きな導入メリットとなります。

導入事例としては、渋谷キャスト内に設置されたデジタルアート作品「AXYZ(アクシズ)」が挙げられます。3本の柱に配置された合計18面の高精細LEDディスプレイと27台のスピーカーが、時刻や天候、季節といったリアルタイム情報に連動して空間演出を変化させるシステムです。

この空間演出は、イッツコムが設計からコンテンツ配信までを一貫して担当したもので、デジタルサイネージを活用した高度な情報発信の一例として注目を集めています。

まとめ

LEDビジョンは高輝度かつ耐候性に優れ、屋外での情報発信に適した表示方式です。一方、液晶デジタルサイネージは高精細な表示と色再現性に優れており、屋内の案内表示や商品紹介などに適しています。

それぞれの特性やコスト、設置環境を総合的に踏まえて、自社にとって最適な方式を選定することが、導入後の成果を大きく左右します。また、長期運用を見据えたメンテナンス体制や、省エネ性、コンテンツの運用効率といった観点も重要な検討ポイントです。

イッツコムのクラウド型デジタルサイネージは、こうした運用課題に対応する実用性と、わかりやすく扱える操作性を兼ね備えています。配信管理の効率化を図りたい企業や、施設に応じた柔軟な提案を求める方は、ぜひイッツコムまでお問い合わせください。