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社用携帯は導入すべき?支給のメリット・ポイントや活用事例を解説

社用携帯を支給すると各種ICTツールの活用を社内で標準化でき、デジタル化や生産性・業績の向上、魅力ある職場作りに役立ちます。導入時にはデバイス本体だけでなく、データ通信をするためのSIMカードの法人契約が必要です。

スマホの業務利用が一般化する中、社用携帯について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、社用携帯を支給するメリットやポイント、活用事例について紹介します。

社用携帯の支給率や導入の必要性

スマホ・クラウドサービスの一般化やテレワークの浸透により、日常生活だけでなくビジネスにおいてもスマホ利用が常識化しつつあります。デジタル化の進展を受け、企業ではICT(情報通信技術)環境の拡充が急務となっており、社用携帯の導入も重要性が増している状況です。まずは社用携帯を導入する必要性を見ていきましょう。

スマホ利用の浸透による社用携帯の普及

総務省が公表した通信利用動向調査報告書によると、スマホの世帯保有率は年々増加しており、2022年時点で90.1%、携帯電話を含めると97.5%に上ります。またインターネット利用率は88.3%、利用端末別で見るとスマホによるインターネット利用率が90.2%と最も多く、PCやタブレットを上回っている状況です。

この流れを受けて各サービス事業者はスマホ利用を前提としたサービスを拡充しており、多くの企業は各種クラウドサービスなど、さまざまなクラウドサービスをスマホから利用しています。特にテレワーク環境ではスマホとICTツールの組み合わせは重要です。

(参考:『令和4年通信利用動向調査報告書(世帯編)|総務省』

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2022年の社用携帯支給率

社用携帯を支給する代わりにBYOD(私物デバイスの業務利用)を認める企業もありますが、「仕事とプライベートの切り替えがしにくい」「料金が個人負担になる」などの問題もあります。

モバイル専門調査機関MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)の調査によると、2022年の社用携帯の支給率は大企業で42.1%、中小企業で30.4%でした。「過去利用しており再度利用したい」「これから利用したい」を合わせた利用意向は、大企業で10.8%、中小企業で15.5%となっています。

また社用携帯のサービス面において重視するポイントは、大企業・中小企業ともに、通話量・通信料金やウイルス感染対策などです。

(参考: 『2022年法人向け携帯電話の利用実態調査|MMD総研』

【関連記事:BYODとは?メリット・デメリットや導入時の環境整備を分かりやすく解説】

社用携帯でデジタル化の恩恵を享受

働き方改革やコロナ禍の影響を受けて社会のデジタル化は加速しましたが、デジタル化に慎重な見方をする向きもあります。総務省が公表した令和3年版 情報通信白書によると、「世の中でデジタル化が進んでいないと思う理由」を訪ねたところ、回答の上位5件は以下のようになりました。

1.「情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安」52.2%
2.「利用する人のリテラシーが不足しているから」44.2%
3.「デジタルでの業務利活用が不十分」36.7%
4.「通信インフラが不十分」35.5%
5.「情報端末が十分に行きわたっていない」34.0%

(参考:『令和3年版 情報通信白書|総務省』

また令和4年版 情報通信白書によると、「デジタル化を進める上での課題や障壁」の回答上位5件は以下のようになっています。

1.「人材不足」67.6%
2.「デジタル技術の知識・リテラシー不足」44.8%
3.「アナログな文化・価値観が定着している」32.6%
4.「資金不足」27.3%
5.「明確な目的・目標が定まっていない」25.3%

(参考: 『令和4年版 情報通信白書|総務省』

デジタル化を進展するには、明確な目的・目標に基づき安全な情報通信環境を整え、デジタル技術を利活用するノウハウを蓄積することが重要です。この一環として、社用携帯などのモバイルデバイスとICTツールを整備し、柔軟に活用する仕組みを作ることが求められます。

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社用携帯を導入する6つのメリット

社用携帯を導入することには以下のようなメリットがあります。

・クライアントの信用獲得
・社員のプライバシー保護
・情報漏えいリスクの低減
・スムーズなデータ活用
・退職・紛失時の情報管理
・事務処理の効率化やコスト削減

ここからは、社用携帯を導入する必要性をよりクリアにイメージしていきましょう。

クライアントの信用獲得

社用携帯を支給するメリットの1つは、クライアントの信用を得られることです。個人携帯を業務利用してクライアントと電話番号を交換する場合、クライアントには「取引の内容を個人携帯に保存される」という緊張が生まれます。

やりとりを続ければスマホで情報共有しますが、個人携帯を私的利用する範囲はクライアントには分かりません。社用携帯であれば「企業側が管理している」という安心感があり、クライアントの信用を得やすくなります。

社員のプライバシー保護

社員のプライバシー保護になることも社用携帯を支給するメリットです。社用携帯を利用すれば仕事上の付き合いで個人の電話番号を教える必要がなく、公私混同を避けられます。

個人携帯へ仕事の電話がかかってこないのでプライベートな時間に緊張する必要もなく、電話番号に紐づいたSNSを盗み見られることもありません。

情報漏えいリスクの低減

セキュリティ対策になることも社用携帯を支給するメリットです。スマホの私的利用をする際、悪意のあるWebサイトやアプリを経由してウイルス感染や不正アクセスの被害に遭い、データを盗み出される場合があります。

私的利用するスマホに社内情報を保存していると、いつ情報漏えいを起こすか分からない点は大きなリスクです。そこで企業がセキュリティソフトや利用範囲を管理する社用携帯を支給し、私的利用・業務利用を明確に区別すれば、情報漏えいリスクを抑えられます。

【関連記事:情報漏えいとは?原因や警戒すべき理由、対策をわかりやすく解説

スムーズなデータ活用

社用携帯を支給するとモバイルデバイスのプラットフォームを統一でき、データ活用に役立つのもメリットです。スマホを業務利用するとさまざまなICTツールを活用しますが、個人携帯は搭載OSやスペックが統一されておらず、業務遂行に支障をきたす場合があります。

「企業が整備したICTツールを使うモバイルデバイス」としての社用携帯を支給することで、データ活用のトラブルを抑え、業務効率化や生産性向上が可能です。

退職・紛失時の情報管理

情報管理に役立つのも社用携帯を支給するメリットです。業務利用するスマホには社内情報が蓄積されますが、個人携帯を業務利用すると社員の退職時に後処理が困難になります。企業が管理する社用携帯を使用することで、情報漏えいリスクの低減やスムーズな引き継ぎが可能です。

またMDM(Mobile Device Management)により社用携帯を管理すれば、遠隔操作によるロックやデータ消去にも対応でき、紛失時の情報漏えいリスクも抑えられます。

【関連記事:端末管理(MDM)システムで業務用デバイスの管理を円滑化!導入のコツは?】

事務処理の効率化やコスト削減

事務処理の効率化やコスト削減に役立つのも社用携帯を支給するメリットです。個人携帯を業務利用すると私用・業務利用の線引きがあいまいになり、通信費の申請や経理のチェックなどに手間がかかります。社用携帯であればこういった無駄な業務とは無縁です。

また法人向けのスマホやSIMカードは個人向けのものより低コストである場合が多く、利用台数・枚数が多いほど大きなコスト削減効果を得られます。

【関連記事:SIMカードとは?基礎知識から企業向け活用術や選び方まで分かりやすく解説】

社用携帯を導入する際の注意点

社用携帯の導入にはさまざまなメリットがある一方、以下のような注意点もあります。

・安全かどうかは社用携帯の使い方次第
・トータルコストが高くなる場合も

このようなリスクも想定して、対策を検討しましょう。

安全かどうかは社用携帯の使い方次第

社用携帯を支給すると、社員は企業の目が届かない場所でデバイスを操作します。社員によってはITリテラシーやセキュリティ意識が低い場合もあり、特にこれまで社用携帯を使ったことがない社員は、個人利用のスマホと同じ感覚で操作しがちです。

公私混同して私的利用することも考えられ、企業側の適切な管理・教育がなければセキュリティリスクの増大を招く場合もあります。

トータルコストが高くなる場合も

法人向けのスマホ・SIMカードは個人向けのものより割安な料金プランとなっているのが一般的ですが、導入に当たっては初期費用が必要です。また一部社員が業務とは無関係なデータ通信をし過ぎたり、置き忘れなどでデバイスを紛失したりすると、ランニングコストが高くなる場合もあります。

社用携帯の導入時に押さえるべき5つのポイント

社用携帯の導入時には以下のポイントを押さえることが大切です。

・トータルコストを把握する
・セキュリティポリシーを策定する
・セキュリティ教育を実施する
・保守管理体制を整える
・データをクラウド管理する

特に問題になりやすい私的利用や情報漏えいはしっかりと対策しましょう。

トータルコストを把握する

社用携帯のコストを把握しておけば、定量的・定性的な導入効果を見極めやすくなります。まずは社用携帯が必要な部署や利用範囲を明確化し、コストを把握しましょう。法人向けスマホ・SIMカードの料金表と照らし合わせ、以下のような点からおおよそのコストを算出します。

・利用台数
・サービスの料金プラン
・故障紛失時のサポート内容
・テレワークの実施頻度
・Webサービスの利用頻度

セキュリティポリシーを策定する

社用携帯を支給するとセキュリティ対策の必要性が高まるので、社用携帯に関するセキュリティポリシーを策定することも大切です。例えば「スマートデバイス利用規定」として以下のような項目について運用ルールを定め、セキュリティ対策の指針を示します。

・私的利用の禁止
・社用携帯の利用者制限
・インストールするアプリの制限
・セキュリティソフトの利用方法
・Webブラウザやメーラーの利用方法
・ICTツールの利用方法
・ネットワークの利用方法

これらは基本的にセキュリティインシデントの予防策ですが、ウイルスに感染した際の対処方法など、問題が起こった場合に何をすべきかも規定しましょう。

セキュリティ教育を実施する

セキュリティポリシーには違反時の罰則を規定することもできますが、ポリシーが守られるかどうかは社員の自主性次第なので、セキュリティ教育を実施することも重要です。

セキュリティ対策の必要性や想定されるセキュリティインシデントを周知し、必要なアクションが取れることを確かめましょう。テレワーク環境で研修の実施が難しい場合、Web会議システムを用いたオンライン研修が効果的です。

【関連記事:サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の具体例、対策の施策例を解説

保守管理体制を整える

セキュリティポリシーを順守するためには、セキュリティ教育を実施するとともに、企業側で保守管理体制を整えることも大切です。

例えばMDMを用いれば、アプリのバージョン統一やインストール制限、遠隔操作によるロックやデータ消去に対応できます。VPN環境を構築してインターネット接続の際に社内LANを経由させ、ファイアウォールなどの社内セキュリティシステムを適用することも効果的です。

データをクラウド管理する

情報漏えいが問題になりやすいのは、社用携帯に社内情報をダウンロード・保存する場合です。顧客情報やプロジェクトの内容が漏えいすると、信用失墜や株価下落などの大きなダメージを被ることもあります。

そこで効果的なのが、データをクラウド管理することです。クラウドストレージなどのクラウドサービスを利用すれば、データは常にセキュアなクラウド上で保存・管理でき、社用携帯にはクライアントアプリをインストールするだけで済みます。

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社用携帯の活用事例

スマホを支給すると、社内でICTツールの活用方法を標準化できます。例えばWeb会議システムやビジネスチャットでのコミュニケーション、各種情報閲覧や進捗管理・勤怠管理・スケジュール管理などです。またテザリングにより、法人契約のSIMカードを挿入していないタブレットやPCもインターネット接続ができます。

音声・ビデオ・チャットでコミュニケーション

BYODの場合、連絡先情報や電話の履歴は私用・業務用のものが混ざってしまい混乱しがちです。社用携帯を支給すれば、業務用の連絡は完全に分離できます。

Zoomなどスマホ対応のWeb会議システムを活用すれば、現場の模様を映しながらオフィスワーカーと会議することも可能です。

またビジネスチャットツールで部署単位やプロジェクト単位などのグループを作成し、業務関連のテキストやファイルをやりとりすることもできます。

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Web・メールや営業支援システムなどの情報閲覧

社用携帯に各種アプリをインストールし、情報の閲覧・入力もできます。Webブラウザやメーラーをインストールすれば、企業側で契約したモバイル回線を使って、調べ物やメールの閲覧・返信などが可能です。履歴は私用アカウントのものと分離でき、業務効率化にも役立ちます。

他に、交換した名刺の情報をクラウド型の名刺管理ソフトに入力したり、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)で営業履歴・顧客情報を出先で確認したりすることも可能です。

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進捗管理・勤怠管理・スケジュール管理

社用携帯でクラウド型のグループウェアや勤怠管理ツールを利用すれば、タスク・プロジェクトの進捗状況をオフィスワーカーと共有でき、タイムカードをオンライン化してテレワーカーが勤務時間を打刻することもできます。

アカウントに紐づいたカレンダーも私物携帯と分離できるため、プライベートと業務用のスケジュールが混在する心配もありません。

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テザリングでタブレットやPCもインターネット接続

社用携帯がiPhoneやAndroid端末といったスマホなら、テザリング機能でスマホをモバイルWi-Fiルーターのように利用できます。

これはPC版のWordやExcelを大画面で操作したい場合などに役立つ方法です。SIMカードを挿入していないタブレットやノートPCでも、Wi-Fi接続やBluetooth接続により、社用携帯のモバイル回線を使ってインターネット接続ができます。

出先で安全性に懸念のあるフリーWi-Fiを使う必要がなくなり、情報漏えいやマルウェア感染の抑止にも効果的です。Boxなどのクラウドストレージにアクセスし、オンライン共同編集をする場合にも役立ちます。

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イッツコムの「法人データSIM」で社用携帯を高コスパ運用

社用携帯を導入するには、モバイル回線を利用するためにSIMカードの契約が必要です。ビジネスユースなら、個人向けプランではなく法人向けプランを選びましょう。

イッツコムの「法人データSIM」は、NTTドコモの回線を使用するため、NTTドコモのサービスエリア内なら全国どこからでも利用できます。

SIMカードを挿入するデバイスに制限はありません。スマホ・タブレット・PCの他、SIM対応のPOSレジや監視カメラにも挿入できます。モバイルWi-Fiルーターとセット契約し、現場の事務所やイベント会場などの一時的なインターネット回線としても利用可能です。

法人向けサービスならではの「シェアプラン」なら、複数SIMカードを安価にセット契約し、データ容量をシェアできます。SIMカードごとの定額料金制ではないため、メンバー間・デバイス間で月間通信量に差があっても、トータルコストを抑えて運用できるのが利点です。

まとめ

社用携帯を支給することは、ICTツールの柔軟な活用によるデジタル化やデータ活用を推進し、生産性や業績を向上することにつながります。コミュニケーションツールや営業支援システム、勤怠管理システムなどの活用を社内で標準化でき、テレワーカーや現場社員にとっての魅力的な職場作りにも役立つでしょう。

イッツコムはシェアプラン契約やモバイルWi-Fiルーターとのセット契約も魅力的な「法人データSIM」を提供しています。社用携帯の導入をお考えなら、効果的な活用をきめ細やかにサポートできるイッツコムにご相談ください。